[書き下し文]子曰く、孟公綽(もうこうしゃく)、趙(ちょう)・魏(ぎ)の老と為れば則ち優か(ゆたか)ならん。以て、膝(とう)・薛(せつ)の大夫(たいふ)と為すべからず。
[口語訳]先生が言われた。『魯の孟公綽は、趙・魏といった大きな家の家老(家宰)となれば十分に役務を果たすだろう。しかし、膝・薛のような小国の大臣の役割を果たすことは出来ないだろう。』
[解説]孔子が、高潔で無欲な人格の持ち主として知られた魯の孟公綽の『為政者としての適性』について述べた章である。私利私欲に駆られることのない孟公綽であれば、富裕な一家の家老として財務会計を司ることは十分に可能である。しかし、積極的な行動力やリーダーシップに乏しい孟公綽では、権謀術策を駆使しなければならない小国の大臣は務まらないだろうと孔子は考えた。