[書き下し文]子夏曰わく、小道(しょうどう)と雖も(いえども)必ず観るべき者あり。遠きを致さんには泥(なず)まんことを恐る、是(ここ)を以て君子は為さざるなり。
[口語訳]子夏が言った。『小さな技芸の道であっても、見るべき部分はあるものだ。しかし、究極まで道を極めようとすれば、小さな技芸は邪魔になる。だから、君子は小さな道を行かないのである』
[解説]子夏が、枝葉末節の技芸にこだわらず本質的な大義を果たすことの重要性を述べた部分である。『論語』では、生活に密着した細々な技芸を低く評価して、天下を運営する政治の問題を高く評価する傾向があるが、これは必ずしも現代的な民主主義や勤労道徳の概念にフィットしたものではないだろう。