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【宮に初めて参りたるころ】~第百八十四段(一)

时间: 2014-06-29    进入日语论坛
核心提示:(一) 宮に初めて参りたるころ、ものの恥づかしきことの数知らず、涙も落ちぬべければ、夜々参りて、三尺の御几帳(みきちやう
(单词翻译:双击或拖选)
(一)
 宮に初めて参りたるころ、ものの恥づかしきことの数知らず、涙も落ちぬべければ、夜々参りて、三尺の御几帳(みきちやう)の後ろにさぶらふに、絵など取りいでて見せさせたまふを、手にてもえさしいづまじうわりなし。「これは、とあり、かかり。それが、かれが」などのたまはす。高坏(たかつき)に参らせたる大殿油(おほとなぶら)なれば、髪の筋なども、なかなか昼よりも顕証(けそう)に見えてまばゆけれど、念じて見などす。いと冷たきころなれば、さしいでさせたまへる御手のはつかに見ゆるが、いみじうにほひたる薄紅梅(うすこうばい)なるは、限りなくめでたしと、見知らぬ里人ごこちには、かかる人こそは世におはしましけれど、驚かるるまでぞまもり参らする。
 
 暁には疾(と)く下りなむと急がるるr。「葛城(かつらぎ)の神もしばし」など仰せらるるを、いかでかは筋かひ御覧ぜられむとて、なほ伏したれば、御格子(みかうし)も参らず。女官(にようくわん)ども参りて、「これ、放たせたまへ」など言ふを聞きて、女房の放つを、「まな」と仰せらるれば、笑ひて帰りぬ。
 
 物など問はせたまひ、のたまはするに、久しうなりぬれば、「下(お)りまほしうなりにたらむ。さらば、はや。夜さりは疾く」と仰せらる。
 
 ゐざり帰るやおそきと上げ散らしたるに、雪降りにけり。登花殿の御前は立蔀(たてじとみ)近くてせばし。雪いとをかし。
 
(現代語訳)
 
 中宮様の御所に初めてご奉公に参上したころは、何かにつけて恥ずかしいことが数知れずあり、涙が落ちてしまいそうなので、昼には参上せず、いつも夜に参上して、三尺の御几帳の後ろに控えていると、中宮様は絵などを取り出して見せてくださるが、私はろくに手を差し出すこともできないほどどうしようもない気持ちでいた。「この絵は、ああです、こうです、それが、あれが」などと中宮様はおっしゃる。高坏を逆さにした上におともしした御燈火が明るく、髪の毛の筋などもかえって昼よりはっきり見えて恥ずかしいけれど、じっとこらえて見などする。ひどく冷える時期なので、差し出された中宮様のお手が袖口からわずかに見えるのが、とても艶やかで薄紅梅色で、この上なくすばらしいと、そしてはなやかな宮中を知らない里人である私の心には、このようなすばらしいお方もこの世にはいらっしゃるのだと目が覚めるほどの気持ちがして、じっとお見つめ申し上げる。
 
 明け方になると早く退出しようと自然に気が急いてくる。中宮様は「葛城の神のように夜にしか姿を見せないそなたでも、もうしばらくはいいでしょう」などとおっしゃるが、何とかして斜めからでも顔を御覧に入れずすませたいと思い、そのまま伏せているため、まだ御格子もお上げしていない。女官たちが参上して、外から「御格子をお上げくださいませ」と言うのを聞き、女房が内から上げようとすると、中宮様が「いけません」とおっしゃり、女房は笑いながら帰っていった。
 
 中宮様は何かと私にお尋ねになり、お話なさったりするうちに、だいぶ時間がたったので、「もう退出したいでしょう。それでは早く下がりなさい。でも、夜は早くいらっしゃい」とおっしゃる。
 
 中宮様の御前を座ったまま下がるとすぐに格子能の戸が上げられ、外には雪が降っていた。登花殿の前のお庭には立蔀が近くにあるので狭い。しかし、その雪景色はとても趣がある。
 
(注)高坏 ・・・ 食器を載せる台。それを逆さにして燈火の皿を置いた。
(注)登花殿 ・・・ 後宮の建物の一つで、当時は中宮定子がおられた。
(注)立蔀 ・・・ 格子の裏側に板を張って目隠しにしたもの。
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