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带电人M-车库之谜

时间: 2022-01-30    进入日语论坛
核心提示:ガレージの秘密 もうとっくに、お昼を過ぎていましたので、みんなが、食事をしてから、四台の自動車をつらねて、練馬区の桜井さ
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ガレージの秘密


 もうとっくに、お昼を過ぎていましたので、みんなが、食事をしてから、四台の自動車をつらねて、練馬区の桜井さんのガレージに行くことになりました。二十面相にも、手錠をはずして食事をさせ、裏表の見張りに立っていた六人の刑事さんたちにも、弁当をだしたのです。
 いちばん先の車には、明智探偵と小林少年と遠藤博士、二ばんめには、刑事が三人、三ばんめには、中村警部とふたりの刑事にかこまれて二十面相が、四ばんめには、残りの刑事三人、という順序です。これだけ用心をしていれば、いくら二十面相でも、逃げることはできないはずです。
 やがて、桜井さんのガレージの前につきました。さびしい町です。そのへんは、いけがきにかこまれた、広い庭の家が多く、木が青々と茂って、シーンと静まりかえっています。人通りも、めったにありません。
 そこで、みんな車からおりて、八人の刑事は、手錠をはめた二十面相のまわりを、ぐるっと、とりかこみました。
 小林少年の案内で、明智探偵と、中村警部が、桜井さんの家にはいっていって、ガレージを調べさせてもらいたいと話しました。
 桜井さんは、ガレージの秘密が、わからないので、困っていたところですから、すぐに承知をしました。そして、自分も運転手をつれて、表にでてきました。
 運転手がガレージのとびらを開きますと、あの青い自動車が、ちゃんとおさまっていました。
 明智探偵はひとりで、ガレージの中にはいって、なにか調べていましたが、しばらくすると、ニコニコして出てきました。
「それじゃ、ひとつ実験をしてみましょう。きみ、この自動車を、外に出してくれませんか。そして、ぼくの自動車を入れてみることにします。」
 明智探偵のことばにしたがって、桜井さんの運転手が、青い車に乗って、それをガレージの外に出しました。
「みなさん、どんなことが起こるか、よく見ててください。」
 明智探偵はそう言って、小林少年とふたりで、アケチ一号の自動車に乗ると、静かにガレージの中に車を乗り入れました。
「ガレージの戸をしめてください。そして、中でクラクションを鳴らすまで、あけないように。」
 明智探偵がガレージの中の車の窓から、首を出して、どなりました。桜井さんの運転手が、とびらをぴったりしめました。
 さあ、なにが起こるのでしょう。みんなは、ガレージのとびらをみつめたまま、静まりかえっていました。
 十分もたったでしょうか。中からクラクションの音が聞こえました。運転手が大急ぎで、とびらを開きました。
 アケチ一号はもとのままです。
「みなさん、中にはいって、調べてください。」
 車の中から、小林少年がさけんでいます。
 中村警部、遠藤博士、桜井さんの三人が、中にはいっていきました。
「おやっ、明智君はどうしたのだ。」
 中村警部が、驚いて、たずねました。
「先生は消えてしまったんです。」
「ほんとうか。いったい、どうしたんだ。」
 それから、中村警部は車体の下や、シートの下や、うしろのトランクの中など、怪しいところは残らず調べましたが、明智探偵の姿は、どこにもありません。
 ガレージのかべや、床の鉄板をたたきまわってみましたが、どこにも、かくし戸はありません。
「ふしぎだなあ。小林君きみにはわかっているんだろう。早く、種明(たねあか)しをしたまえ。」
 中村警部が言いますと、小林少年は、
「それじゃあ、種明しをしますから、みなさん車に乗ってください。そして、外から、ガレージの戸をしめさせてください。」
と言いますので、警部と博士と桜井さんは、外から戸をしめさせておいて、車に乗りこみました。
 すると、小林君は、一度車からでて、ガレージのすみにうずくまって、なにか、やっていましたが、カチッと、音がしたかと思うと、どこからか、かすかに、モーターのうなりのような、ひびきが、聞こえてきました。
「おやっ、この車は、下へ沈んでいくじゃないか。」
 エレベーターがおりるように、自動車が下へさがって行くのです。床の鉄板も、いっしょに、さがって行くのです。
 グングンさがって行きます。ガレージの天井と自動車の間が、みるみる、へだたっていくのです。
 やがて、ガレージの下には、ガレージよりも広い、コンクリートの部屋があることがわかってきました。
 右手の方が、いちばん広くなっています。そこに明智探偵のニコニコした顔があらわれ、首から胸、腹から腰と、だんだん、全身が見えてきました。ガレージの天井には電灯がついているので、その光が、ここまでとどくのです。
「おお、明智君。ここにいたのか。それにしても、なんという大仕掛だ。ガレージの、床ぜんたいが、モーターで、あがったりさがったりするんだね。桜井さん、あなたは、この仕掛をごぞんじなかったのですか。」
 中村警部がたずねますと、桜井さんは、目をまんまるにして答えました。
「いや、知るもんですか。わたしは、この家を前の持ち主から、ガレージつきで買ったのですよ。こんな仕掛をしたのは、前の持ち主でしょうか。」
「前の持ち主というのが、じつは二十面相か、かれの部下だったかもしれませんよ。そして、なにくわぬ顔で、あなたに売りつけ、いざというときに、このガレージをかくれ場所にするつもりだったのでしょう。」
 明智探偵が言いました。
「で、治郎は……治郎はどこにいます。」
 遠藤博士が、待ちきれないで、車のドアを開きながら、あわただしくたずねました。
「ぼくも治郎君はここにかくされているのではないかと、疑ったのです。しかし、ここにはいません。ここは、からっぽです。ただ、このすみに、こんなものが置いてあったばかりです。」
 明智探偵の指さすところに、大きな丸いガラスのようなものが見えました。そのそばに、うすい鉄のよろいのようなものが、まるまっています。
「あっ、さっき木村のベッドの秘密箱の中にあったのと同じものだ。電人Mの変装衣装だなっ。」
 中村警部がさけびました。
「そうだよ。あいつは、方ぼうに、これを用意しておくのだ。いつでも使えるようにね。」
「それにしても、どうして、この鉄板の床をあげ下げするんだ。どっかに、スイッチでもあるのかね。」
「鉄板には鉄のびょうが打ってある。そのひとつが、スイッチがわりになっているのさ。たくさんのびょうの中から、そいつを捜すのに、ちょっと、骨がおれたがね。」
「ふうん、それで、さっき小林君が、すみっこにしゃがんで、なにかやっていたんだね。すると、きのう、電人Mのやつが治郎君をさらったときには……。」
「そうだよ。いちど自動車をさげて、治郎君といっしょに、この地下室にかくれ、からの自動車を上にあげて置いたのさ。いくら調べてもわからないので、みんなが帰ってしまう。それを見すまして、もう一度、床を下げたり、あげたりして、上にあがり、人通りのないときに、ガレージの戸を開けて、どっかへ逃げてしまったのさ。電人Mの姿では、人目につくので、変装衣装は、ここにぬぎすてていったというわけだよ。」
 これでガレージの秘密は、すっかりわかりましたので、みんなは、鉄板の床を上にあげて、ガレージの外に出ました。
 明智探偵は、八人の刑事にかこまれている二十面相に近づいて、声をかけました。
「二十面相君、どうだね、きみもそこから見ていてわかっただろう。ガレージの秘密は、すっかりばれてしまったよ。この勝負は、ぼくが勝ったようだね。」
「うん、さすがは明智先生だ。感心したよ。このガレージは、おれが、ずいぶん金をかけて、造っておいたものだ。それを桜井さんに買ってもらったが、ガレージの秘密までは、教えなかったというわけさ。」
「二十面相君のやりそうなことだ。きみは世間を驚かすためには、惜しげもなく金を使う男だからね。ところで、約束だよ。さあ、治郎君のいるところを、白状したまえ。」
 すると、二十面相が、みょうなことを言いました。
「きみは、それがわからないのかね。ほんとうにわからないのかね。」
「残念ながら、わからないよ。」
 そのとき、二十面相がニヤリと笑いました。いや、そればかりではありません。明智探偵の方でも、相手に見られないように、顔を横に向けて、ニヤリと笑ったのです。
 なんだか、へんです。これは一体、どういうわけなのでしょうか。
「さあ、治郎のありかを言ってください。ここにくれば、きっと言うと、約束したじゃないか。」
 遠藤博士が、頼むように、言いました。長い間自分の助手をつとめていた木村が、この恐ろしい怪人二十面相だったかと思うと、なんともいえない、へんな気持です。
 二十面相は、それには答えないで、だまって、空を見あげています。なにを考えているのでしょう。そうして、たっぷり五分間ほども、黙りこんでいました。
 だれも、ものを言うものはありません。大ぜいの人が、みんな、人形にでもなってしまったように、シーンと静まりかえって身動きもしないのです。
 そのふしぎな静けさをやぶったのは、明智探偵の声でした。
「二十面相君、なぜ黙っているんだ。なにを考えているんだ。」
「奥の手だよ。」
 二十面相が、ぽつんと答えました。
「えっ、奥の手?」
 明智探偵がびっくりしたように、聞きかえしました。
 さすがの名探偵も、そこまでは考えていなかったらしく、さっと、顔色が変わりました。

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