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红色独角仙(11)

时间: 2021-08-07    进入日语论坛
核心提示:11 ちか室のてんじょうが大きく開いて、おとなの三ばいもあるせいどうのまじんが、ふわふわとちゅうにうき、そのまま空の方へま
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 ちか室のてんじょうが大きく開いて、おとなの三ばいもあるせいどうのまじんが、ふわふわとちゅうにうき、そのまま空の方へまい上がっていきました。
 まじんの足にしがみついていた井上一郎くんも、いっしょに、空へまい上がっていくのです。
「おうい、井上君、手をはなせよ。そして、下へとびおりるんだっ。」
 下から、小林くんが、大声でさけびました。
 まじんの足は、ちか室のゆかから、もう三メートルもうき上がっていましたが、井上くんは思い切って手をはなし、ぱっととびおりました。
 そして、コンクリートのゆかにしりもちをついて、かおをしかめています。
「あいつ、赤いカブトムシを口に入れたまま、とんでいってしまったよ。早く追っかけなけりゃあ。」
「よしっ。なわばしごだっ。」
 小林くんはそうさけぶと、おなかのシャツの下にまきつけていた、じょうぶなきぬひものなわばしごをするするとほどいて、その一方のはしについている鉄のかぎを、開いたてんじょうへ投げ上げました。
 なん度もしくじったあとで、やっとそのかぎが、てんじょうのあなのふちにひっかかったのです。
 しょうねんたんていだんのなわばしごは、一本のきぬひもです。それに三十センチごとに大きなむすび玉がついていて、そこへ足のゆびをかけてのぼるのです。
「じゃあ、ぼくがさきにのぼるから、みんな、あとから来るんだよ。」
 小林くんはそういって、きぬひものなわばしごをぐんぐんのぼっていくのでした。
 そのあとから、みんなのぼりました。ユウ子ちゃんは女の子ですから、井上くんたちが上から手をのばして、引き上げてあげました。
 あなの外へ出ると、そこは、草ぼうぼうの原っぱでした。さいしょにのぼった小林くんが、むこうへ走っていくすがたが小さく見えます。いったい、どこへ行こうとするのでしょう。
 空を見上げると、せいどうのまじんは、ふうせんのように、高く高くとんでいきます。
「わあ、よくとぶねえ。もう、あんなに小さくなっちゃった。」
 ノロちゃんがさけびました。
 あとでわかったのですが、せいどうのまじんはあついビニールでできていて、中にかるいガスを入れたものでした。つまり、ふうせんだったのです。
 ちか室のゆかに小さなあながあいていて、その下に、また、小べやがあったのです。そこにまほうはかせがかくれていて、あなからビニールのまじんをゆかの上におし出しながら、ポンプでガスをふきこんだのです。
 ガスがはいるにしたがって、ビニールのまじんはふくれあがり、しまいには、おとなの三ばいもあるきょじんになってしまったのでした。
 せいどうのまじんがものをいったのは、ゆかのあなの下から、まほうはかせが、声をかえてしゃべっていたのです。
 まじんが口を開いたのは、あごに細い糸がついていて、それを下からひっぱると口があき、糸をはなすと、口がしまるようになっていたのです。赤いカブトムシは、したにくくりつけてあったのでしょう。
 まじんが出る前にあらわれた、たまごのおばけみたいなものも、やっぱりビニールでできていて、一度ガスを入れてふくらまし、みんながにげ出している間に、きゅうにそのガスをぬいたので、ビニールはぺちゃんこになり、ゆかのあなの下へかくれてしまったのです。
 ちか室が暗いので、小林くんたちは、その小さなあなのしかけがよく見えなかったのでした。
 空のせいどうのまじんは、だんだんすがたを小さくしながら、東の方へとんでいきます。東の方へ風がふいているのでしょう。まじんは、赤いカブトムシを口に入れたまま、その風に送られて、どことも知れずとびさっていきます。
「あっ、もう、見えなくなってしまった。」
 木村くんがさけびました。
 そのとき、原っぱのむこうから、小林くんがかけもどってくるのが見えました。
「小林さあん、どこへ行ってたの。あいつは、赤いカブトムシを口に入れたまま空へのぼって、もう、見えなくなってしまったよ。」
 井上くんがよびかけますと、みんなのそばへかけよってきた小林くんが、いきをはずませて答えました。
「明智先生に、でんわをかけたんだよ。
 明智先生に、せいどうのまじんのことを知らせたらね、先生は、すぐに新聞社へでんわしてから、自動車で、あるところへとんでいってくださったんだよ。そして、いまにむこうの空から、みかたがとんでくるんだよ。」
 小林くんが、東京の町の方の空をゆびさしました。いったい、空からなにがやって来るのでしょうか。
 三十分あまりも待ったでしょうか。もう夕ぐれ近いむこうの空に、ぽつんと、黒いてんのようなものがあらわれました。
「あっ、来た、来た。あれだよ。」
 小林くんがうれしそうにいいました。
 てんのようなものは、だんだん大きくなって、こちらへ近づいてきます。それは、一台のヘリコプターでした。みなさん、しょうねんたんていだんのみかたというのは、このヘリコプターだったのです。

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