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透明怪人-密室

时间: 2021-11-13    进入日语论坛
核心提示:秘密室 明智は電話をきると、しばらく考えていましたが、やがて、デスクの上のベルのボタンをおして、お手伝いさんを呼びました
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秘密室


 明智は電話をきると、しばらく考えていましたが、やがて、デスクの上のベルのボタンをおして、お手伝いさんを呼びました。そして、
文代(ふみよ)に、ちょっとここへくるように。」
と、言いつけました。文代というのは、明智探偵のわかい美しいおくさんの名です。
 文代さんは、もと名探偵の助手をつとめていたのですが、『吸血鬼』という事件で、いろいろ、てがらをたて、その事件が解決されたときに明智と結婚したのです。『虎の牙』の事件でも、怪人二十面相と知恵くらべをして、まけなかったほどの、しっかりした人です。
「ご用ですの?」
 その文代さんがドアをあけてはいってきて、明智のそばに近づきました。空色の洋装がよくにあって、まゆがこく、目の大きい、美しい人です。
「いよいよ、透明怪人の事件を、てがけることにしたよ。で、これから、ぼくは警視庁の中村君のところへいくのだが、出ようとしていると、透明怪人の首領から、電話がかかってきた。小林君が言っていた、れいの四角なメガネをかけた怪老人だよ。」
「まあ、それで、なんて言いますの。」
「手をひけ。でないと、いのちがあぶないぞ……。きまり文句さ。」
 文代さんは、名探偵のおくさんですから、そういう、こわい話をきいても、びっくりするようなことはありません。
「でも、あいてには、目に見えない手下が、ついているんですから、ようじんなさらないと。」
「ウン、ぼくも今それを考えていたのさ。こんどのやつは、よほど手ごわいらしいからね。げんに、こうして話しているあいだにも、透明人間が、この部屋にしのびこんで、立ち聞きをしているかもしれない。目に見えないやつだから、すこしもゆだんができないのだよ。だから、きみとの話も、ふつうの声では、いけない。耳をおかし。」
 文代さんは、明智の口のそばへ、顔を近づけました。明智はその耳に、何かボソボソと、ささやきます。
 文代さんは、うなずきながら、その、ないしょばなしを、聞いているうちに、だんだん、まじめな顔になってきました。何か、ひじょうに、たいせつな、そうだんらしいのです。
 話しおわると、明智はさきにたって、部屋を出ました。文代さんも、そのあとにしたがいます。階段をおりて、奥まった一つの部屋に、はいりますと、明智はその一方のかべに、ピッタリとせなかをつけて、立ちました。
「いいかい、ぼくのあとから、はいってくるんだよ。そうすれば、いくら透明人間だって、ついてくることはできやしない。」
 明智探偵はかべのまえに立ったまま、右手をのばして、横にある柱の、あるばしょを、グッとおしました。
 すると、たちまち、ふしぎなことが、おこったのです。なにかヒラヒラとひらめくような感じがしたかと思うと、アッというまに、明智のすがたが、かきけすように、見えなくなってしまいました。
 しかし、文代さんは、それを見ても、すこしもおどろきません。自分も同じように、かべにせなかをつけて、立つと、また柱のどこかを、グッとおしました。すると、ヒラヒラとして、文代さんのすがたも、見えなくなってしまったのです。
 明智探偵は、怪老人にまけないで、人間のからだを、透明にすることを、発明したのでしょうか、いや、そうではありません。そこのかべが、「がんどうがえし」になっていたのです。柱のかくしボタンをおしますと、電気じかけで、クルッと、うらがえしになって、そのかべに、くっついていた人間も、いっしょに、むこうがわへ、かくれてしまうのです。そして、その中に、だれもしらない、秘密室があったのです。
 明智探偵と文代さんは、その秘密室にはいって、何をしたのか、わかりません。それは、ずっとあとまで、読者諸君にもひみつにしておきます。
 何をしたのかわかりませんが、二十分ほどすると、ふたりはまた、かべの中から、すがたを、あらわしました。かべが、二度、クルクルとまわって、明智と文代さんが、出てきたのです。
「では、警視庁へ行ってくるからね。」
 明智探偵は、そう言って、部屋を、出てゆきます。文代さんはそれを玄関までおくりました。

 

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