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透明怪人-洞穴里的“水母”

时间: 2021-11-13    进入日语论坛
核心提示:洞窟のクラゲ 小林君と、少年探偵団員の少年は、その鉄ごうしにしがみつくようにして、さけびました。「大友君、きみはそこにい
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洞窟のクラゲ


 小林君と、少年探偵団員の少年は、その鉄ごうしにしがみつくようにして、さけびました。
「大友君、きみはそこにいるんだね。」
 小林少年は、いくら懐中電灯で照らしても、鉄ごうしの中に、だれもいないので、もう一度、たしかめてみないでは、いられませんでした。
「うん、いるよ。きみたちのすぐ前に、いるんだよ。」
 大友君の声が、そう答え、指のつめで、コツコツと、鉄ごうしを、たたいてみせました。
「ぼくは、ねむっているあいだに、四角なメガネをかけた老人のために、透明人間にされてしまったんだ。そして、はだかにされて、ここへ、とじこめられたんだよ。」
 いまにも泣きだしそうな、かなしい声でした。捜索隊の人々は、手に手に懐中電灯を照らしていましたが、それは青白い、よわい光で、くらやみをはらいのける力はありません。そのくらやみの中から、すがたの見えぬ少年の、かなしげな声だけが、聞こえてくるのです。
「ぼくたちは、この地下道の中を、ぜんぶしらべたが、そんな老人はどこにもいなかったよ。だけど、なんだか、目に見えないやつが、いくにんもいるような気がするんだ。」
 小林君が言いますと、大友君の声が、それをひきとって、
「じゃ、それは一号から三号までの透明人間だよ。一号というのは、世間をさわがせた、あの透明怪人で、二号と三号は、まだ、そとへ出ることを、ゆるされていないんだ。その三人が、目に見えないのをさいわいに、この穴の中に、のこっているのかもしれないよ。」
「フーン、すると、きみをまぜて、四人も透明人間をつくったんだね。いったい、そんなにたくさん、目に見えない人間を、つくって、どうするつもりなんだろうね。」
 黒川記者が、小林君の横から口だしをしました。大友君の声が、それに答えます。
「ああ、黒川さんですね。四角なメガネの老人は、おそろしいことを、考えているんですよ。何千、何万という透明怪人をつくろうというのです。そうすれば、どんなことだってできる。警察も軍隊も、何もおそろしいものがない、だれにもまけやしないと言うのですよ。ぼくはそれをきいて、びっくりしてしまいました。」
 黒川記者も、中村係長も、小林少年も、警官たちも、しばらくは口もきけませんでした。透明怪人の大集団というものが、大友少年が考えるいじょうに、おとなたちの胸にこたえたからです。もし、そういう透明軍ができたら、原子ばくげきよりも、もっとおそろしいことがおこるのではないかと考えたからです。
 警察はひとりの透明怪人にさえ、なやまされていたのです。それが十人になり、百人になり、千人になり、万人になることを思うと、ゾーッと心のそこが、つめたくなるのでした。まるで、こわい夢を見ているような、いやな気持ちです。
 中村係長は、そんなことになっては、たいへんだと思いました。日本だけではない、世界じゅうの人が、ふるえあがるような、おそろしいことになる。いまのうちに、はやく怪老人をとらえて、その発明をぶちこわしてしまわなければ、と考えるのでした。
「アッ、ここに、だれかいる。」
 そのとき、とつぜん、黒川記者のさけび声がきこえました。大友少年のとじこめられている鉄ごうしには、出入り口のひらき戸があって、そとから大きな錠がかかっているのですが、黒川記者は、ちょうど、そのひらき戸の前に立っていたのです。
「だれかいる。」と言う声をきくと、三人の警官がそこへ、かけよりました。しかし、まにあいませんでした。こうしになった鉄の戸が、ガチャンとひらいて、また、ガチャンと、しまってしまいました。
「透明怪人だッ。いま、透明怪人が、この戸をひらいて、中へはいったのだッ。」
 黒川記者がさけびました。そこには、透明怪人の第何号かがしのびよっていたのです。そして、あいかぎで錠をひらいて、鉄ごうしの戸をひらき、牢屋の中へ、はいっていったのです。
 すると、そのとき、鉄ごうしの中から、
「だれだッ。アッ、何をするんだッ。」
と言う、大友少年のさけび声が、聞こえました。いま、はいった透明怪人が、大友君をどうかしているのです。
「大友君、どうしたんだ。そこに、だれがいるんだ。」
 中村係長が、大声でどなりました。そして、三人の警官の懐中電灯が、鉄ごうしの中を、あちこちと、照らしました。しかし、何も見えません。そこは、まったくのからっぽなのです。そのからっぽのところから、「ハッ、ハッ。」と言う、苦しそうな人間の息づかいが聞こえてきます。ひとりではなく、ふたりのちがった、息づかいが、かさなりあって、聞こえるのです。
「大友君、へんじをしたまえ、どうしたんだ。何がおこったんだ。」
 係長がもう一度、どなりました。
「大友君!」「大友君!」
 小林君とふたりの少年も、声をかぎりに、さけびました。
 しかし、二つの息づかいは、ますます、はげしくなるばかりです。大友少年と、もうひとりの透明人間とが息をきらして、とっくみあっているようです。二ひきの大きなクラゲが、やみのなかで、もつれあっているのです。
 そのとき、大友君の苦しそうな、しわがれ声が、きこえてきました。
「アッ、ちくしょう……、こいつ、こいつは、第一号だッ……。小林君……、第一号の怪人が、ぼくを……ぼくを、つかまえて、どっかへ、つれていこうとしているんだッ。」
 あいてに口をおさえられるのを、ふりはなし、ふりはなし、さけんでいるような、とぎれとぎれの声です。
「アッ、たすけて、たすけて……。」
 そのまま、ムーンと口をふさがれたように、声が消えてしまいました。
「大友君、いま、たすけてやるから、しっかりしろッ。」
 中村係長は、さけびながら、鉄ごうしの戸のそばへ、かけよりました。
 しかし、まにあわなかったのです。アッと言うまにつむじかぜのようなものが、サーッ、とふきすぎました。鉄ごうしの戸が、中からパッとひらいたのです。そして何か大きな、やわらかいクラゲのようなものが、その前に立っていた黒川記者をつきとばして、くらやみの中へ、逃げさりました。
 黒川記者は、そのいきおいに、思わずうしろによろめき、そこにいたひとりの警官に、ぶっつかりました。そして、ふたりは、かさなりあって、たおれてしまったのです。
 中村係長と小林少年が、そのそばにかけよります。
「黒川君、しっかりしたまえ、どうしたんだ。」
「逃げた。あっちだ。透明怪人が、大友君をかかえて、ぼくをつきとばして、逃げたんだ。早く、おっかけてください。」
 係長をさきにして、みんなが、黒川記者のゆびさす方角へ、懐中電灯をふり照らしながら、かけだしました。
 しかし、あいては目に見えないやつです。それに、すみずみは、やみにとざされた洞窟の中です。警官たちが、いくらあせっても、もう、まにあいません。いくらさがしても、ついに透明怪人はみつかりませんでした。

 

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