まだまだ小さな二人の子供。そんな二人が成人したら渡したいものがある。それは日記だ。
12年前の成人式前夜、父から2冊の古びたノートを渡された。そこには私を思って書いてくれた父のメッセージがびっしりとつづられていた。
「やったー!俺の子どもができた。どうやらこの夏に父親になるらしい。俺も父親になる」という、ことばから始まった。
生まれた時の感動、1歳の誕生日までにどんなことができたのか、2歳になるまでにどんな言葉が話せるようになったのかが細かく書かれていた。また、成長を心から喜んでくれて、かわいがってくれて、時には厳しく叱ってくれたことも蘇ってきた。初めて私の頬をぶった時「夕香も泣いていた。
殴った俺の手も痛かった。心も痛かった。良識ある娘に育ってほしいからぶつんだ」と、悲痛な叫び声も聞こえてきた。小学6年の夏休みの宿題は、習字だった。苦手な私に書道部だった父は根気よく教えてくれた。何時間書いてもうまくいかなかった。「もうやめる。宿題は出さない」と、言った私に父は「あきらめるな。必ず書ける」と励ましてくれた。ようやく満足できる字が書けた時、嬉しくて泣いた。「良かったな!あきらめなかったから書けたんだ。継続は力なり」と、日記に書いてあった。
日記は涙で濡れ、全部読むのに3日もかかってしまった。読み終わった後父に「ありがとうパパ。日記、大事にするから。そして私も母親になったとき、子供たちに日記を渡そうと決めたよ。ありがとう本当に」と、やっとお礼が言えた。
父に教えてもらったたくさんの愛情。私も、息子とおなかにいる赤ちゃんに日記を書いている。