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言葉をください18

时间: 2020-05-15    进入日语论坛
核心提示:よろこんである日ある町の炉端焼の店へ行った。注文するとカウンターの外の人が「〇〇一ちょう」と叫ぶ。すると中の人がタイミン
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よろこんで

ある日ある町の炉端焼の店へ行った。
注文するとカウンターの外の人が「〇〇一ちょう」と叫ぶ。すると中の人がタイミングよくそれを受けて「〇〇一ちょうよろこんで《ヽヽヽヽヽ》」と復唱する。
「よろこんで」「よろこんで」がくり返されているうちに、何だか私も喜んで注文しないではおられない気になって、いつもの倍も食べて飲んだ。商売とは申せ、よい言葉を発見したものだと感服した。
「おい新聞」「よろこんで」「灰皿ッ」「よろこんで」──という応用は如何。
ある日私は「仕事は外でやってくれ」という言葉に「よろこんで」と答えたばっかりに電車で往復六時間という遠隔地に仕事場を持つハメになった。以来五年経つ。振分け荷物も面白かったし、駅の階段は二段とび、立食いそばの味もまことによろしかった。
その荷物が肩にくい込み、階段の中途で休み、一カ月四往復が三回となり二回となったのはいつごろからであろうか。「よろこんで」私は家事と川柳誌発行という仕事を両立させようと努めた筈だった。そしてその通りに事は運んでいった、と思いたい。
お金と意気地がなかったので実家のある町に姉を頼っての半独立。今、私はもろもろの出来事を語りたくない。私が選んだ私の道ならば、すべてのことに感謝し、よろこぶことだと思っている。
ただ、句の中では私はその「もろもろのこと」から目を外らさなかった。事実の報告ではないが、句は私の真実を忠実に刻んでいった。
家出の荷親と暮らして解かれざる
人の情一切草に嘔吐せり
工場の裏を歩いて強くなる
骨肉のがんじがらめよ鎌の月
姉の背と瓜ふたつなら姉を斬る
二つ悲しみ一つ歓び浮巣ぐらし
親は要りませぬ橋から唾を吐く
行きくれて買う牛乳とビスケット
生きてきてバケツの底を抜く涙
 そして現在、私は自分をどう呼ぼうかと途方にくれている。五年という歳月は私を主婦の座から引きずりおろした。ここでもまた半独立。要するに私は〈家計費〉という名の財布を持つことを許されなくなった。それだけのことである。ふと気がついたら主人に主婦権が移っていただけのことである。
何一つ買物のできない女は主婦ではない。冷蔵庫にある物で工夫する一汁一菜。材料に不足を言うなどもっての外である。おかしな生活がつづく中で、私は「よろこんで」大きな蛔虫《かいちゆう》になる決心をした。何もかも中途半端な苦笑もまた私が招いた笑いなのだから。
一丁の豆腐に涙したたりぬ
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