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言葉をください29

时间: 2020-05-15    进入日语论坛
核心提示:花ともだち五月六月、どの家の庭も花でいっぱいになる。花を差しあげたり貰ったりという楽しみも花の好きな人には何よりのことで
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花ともだち

五月六月、どの家の庭も花でいっぱいになる。花を差しあげたり貰ったりという楽しみも花の好きな人には何よりのことであろうし、互いの庭を訪ねあうのもまたこの季節であろう。苗も往ったり来たりする。
ゆうべ大箱の鳴門わかめが箱ごと無くなっていて、私はさんざん捜しまわった。あきらめてエンドウの味噌汁を作りながらふと夫にたずねると「食べてしまった」とのことであった。わかめで詰まったソーセージの如き腸が浮かんだが、私は何も言わずすぐに忘れた。
けさ、裏で声高な対話がきこえる。姿は見たことがないのだが、夫がよく話す茶の師匠がまた花を届けに来ておられるのだなと思った。お師匠さんは一段と声はり上げて、
「先だっては海草をあんなに沢山、ありがとうございました。あれはからだによござんすからねえ、毎日いただいていますのよ。ところであなたの心臓のおぐあいは?」
夫が小声でぼそぼそ。するとまたソプラノで、
「らっきょうはあなた心臓によくないそうざんすよ。その点あなた海草はすばらしいですわ。それをあんなにいただいちゃって」
「梅干は召し上がっておられますか」
「ハイハイ、わたくしすっぱいのが苦手なんざんすが、お言いつけを守って、オカカをかけて蜂ミツをちょっと入れまして毎日ハイ」
「花をいつもすみませんです、遠いのに」
「なんのなんの、これ〇〇ウツギ、つゆ草、八ツ手。そしてこの花の名がわかりませんのよ。葉は矢車草みたいですけど花は似てませんざんしょ」
「本で調べておきますよ」
私は開け放った窓から入ってくる朝の空気を胸いっぱいに吸いながらうとうととしていた。「花ともだちか」──ひとりでに微笑がひろがる。しんねりむっつりの夫にいい話し相手がみつかった。幼稚園から子供がはじめてともだちを連れて帰ったよろこびに似ている。よかった、よかった。
ひる近くまで、私は海草とわかめが結びつかなかった。「カイソウ」という花の名かしらと耳にもとどめていなかったのである。
ゆうがたになってやっと大箱のわかめの行方が「海草」だったのだとわかった。朝よりも濃い微笑がひろがった。「食べてしまった」だなんて、小さな嘘をついた男の子は母親にとって実にかわいらしいものである。
大根の花は白かむらさき。はて牛蒡《ごぼう》の花は何色だろう。ごぼうの花もたしか紫で頭状であったな。葉は心臓形、根は利尿の効あり。ああ願わくば牛蒡根ぐるみ熨斗《のし》つけて、夫をあの方にさしあげたい。
剪《き》って詮なしあじさいの大頭
花ともだちは花盗ッ人よ雨になる
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