少しぬるくて薄いにごり
それは幼い日に遊んだ小川の
苔のついた水たまり
石を動かすと
ドンコツがさっと出て
又かくれた夏の
水たまりはお風呂の様に
温かった。
しまい湯に
洗った身体を沈めて
両手拡げてポチャ、ピチチュ
十本の指のフル活躍
湯面を打って
ズイズイズッコロバシゴマミソズイ
ポチャ、ピチチュ
十何年の学窓に
一度も甲を貰った事の無い音楽
私一人の獨演会
やがてそれは
小川を流れる
澄み切った水のはじく音
水が水を打つ音
水が水の上をころがる音
水の音は幸の音
結婚目近の妹の
井戸端で洗濯していた
水の音
私の指ももう止めた。
もう出なければ心配して
のぞきに来る。