小さなブティックの
片隅に吊されていた
夜明けの空の色をしたブラウス
即座に紙幣と交換した
縫い目から希望の光がこぼれる
このブラウスに触れる時
すべての意識を注ぎ込んで
他のどれよりも
丁寧に扱った
だから、だろうか
このブラウスとの
隔たりを感じてしまうのは
あの人のこともそうだ
優しいまなざしを 独占したくて
あの人の前では
心の糸を緩めることができない
自分が別の女を演じていることに
ふと、気づく時
あの人との距離は
もはや 測ることさえできない
想いを寄せているものに
向かう時
あふれるほどの感情を
閉じ込めておく
器はないものだろうか