川の側を
上流に向かって歩くと
滝と遭う
何度訪れても欺かず
それは 滝だった
永遠を成り立たせている水の湛え
疾走馬の前肢のような水の勢い
滝の中央に
一本の燃え立つ樹のように
立っていよう
狂おしいまでの
水の吠える声が
足元から上ってくる
滝は
わたしが心の奥底にたたみこんでいた
緋色の布を
引き出して流れに晒し
赤いうねりを作る
飛沫の中で緋の渦は
ごおごおと
希求の高鳴りとなって
やがて
もっと深い色に染められ
真っすぐに
わたしの裡へ戻ってくるのだ
滝が激しく返してくれたものを
樹は
幹を太くして
動悸とともに
受け取るのだろうか
自然は
しなやかに
わたしを
醸成していく