迷霧の中を
漂っている
生きているのは
何のためか
誰のためか
という愚かな問いを
繰り返しているうちに
いっそう深くなった
霧が
わたしの存在を
抹消しようとすることに
抗う気持ちは
ない
けれども
霧の向こう側で
今を生きることに
光の粒ほどの疑いも
持っていないような
小鳥の
翼が欲しい時がある
素肌に
真実を
感じながら
静かに風を聴いている
野の花が
無性に
恋しくなる時がある
わたしは
わたしを
連れ出そうとしているのだろうか