芯だけで
立っていた
送るということの 不思議
父は
骨壺に入った時から
饒舌になった
父の声は
絶え間なく
鳥影のような
形になり 音になり
気配になって
わたしの
皮膚を 静脈を
心を
横切った
寄り添う骨の群れは
樹木の
冴えた匂いがした
送るということの 錯覚に
気づかないまま
父とわたしは
紙片の裏道に
分かれてしまった
今
無と有が
絡み合い
せめぎ合い
そこに
一体 どちらが存在するといえるのだろう
けれど
送るということの 真実
過去が
ふっと 側に来て
叫びのような悔恨の種を
植え付けていく
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