山が 山でなく
川が 川でなく
い ま
「さっき」 の 現実が「むかし」 となり
「むかし」 への拘りが
様々に錯綜する
この私の天秤は
右に振れ
左に振れ
か お
ヤジロベエの無邪気な 表情の中には戸惑いもあったのだ と
解ったりもする
父が 逝って
母が 母でなく
揺らぎ揺らいで
と き
当たり前の 瞬間が当たり前でなく 過ぎていく
それでも 食卓には
「冬」 が来て
「春」 が来て
あの時
抱えるには 重たすぎた
「父なし子」
という言葉さえもが
菜の花のおひたしの中に
隠れてしまったりもする