明日と言う字が見えてくる
背信のぶどうを
つるり飲み込んでいる
昼下がりも
草の香の残る指を
口にくわえてむせている
たそがれ時も
手のひらを開けば
純白の
明日と言う字が見えてくる
はちきれる若さを
燃焼しきれないままに
みずからの吐き出す糸に
がんじがらめにしばられて
一本の棒となって
突っ立っている
少年の未来を
黒と
きめつけたのは誰だろう
町角ですれ違う
郵便屋さんの
笑顔を信じることができたなら
頬をすりぬけてゆく
風の
ささやきを感じることができたなら
深夜
胸の上で組みあわせた
手のひらの
明日と言う字が
ぼやけ始める頃
たましいの深みで
またひとつ
生まれて来るものの
気配に
気がつくことだろう