夕刻
わたしの心も
裸木になった
人がずっと抱き続けてきた
さびしさという花芽を
いくつか
残したまま
こんなとき
暮れかかる「時」の息遣いに
ふっと
もたれてみたくなる
やわらかな太陽が
無言で
わたしの手の平の静脈管から
茜色を
注ぎこんでくる
全身を染め上げられたとき
無数のきのうが散蒔いた
孤独な感情が
いつしか
いとおしい形に変わっていた
夕陽の進んで行く音の中で
少しだけ
立ち止まろうか
微かだけれど深い音だ
ひそやかに呼吸する音だ
空は
知っているに違いない
わたしが 今
同じ音を発しながら
身篭っていることを―