皆、隠れているのだ
生も死も
幸も不幸せも
静寂の中で たった今、
小さな呼吸を始めた太陽の彩を
人は未来と呼ぶのだろうか
胸いっぱいに満ちていく
冷気の中から
トクトクと流れ込んでくる朝の気配が
私の身体から産声をあげ
希望という一日の始まりとなるのなら
みんなあげよう
最後の一滴まで
山頂の上に建つ
赤い屋根のサナトリウムの
その窓辺のすべてに
今日一日という希望をあげよう
あたりまえの笑いを
ありふれた日常を
埃っぽい雑踏のざわめきを
通勤ラッシュの車のクラクションの音を
町工場の金属音を
宝ものだと君は言った
宝ものは、人それぞれに違うのだと
君は言った 小さな声で
だから
そっとそっと
片足を踏み入れてみる
君の世界を壊さないように
もっと許しあえるのなら
私と君の間にこの朝の光を降りそそぎ
一本のゆるやかな流れを作ろう
宝ものは、人それぞれに違うのだと
今度は 私が言うために