時おり 心の風が止む
新しい私を求めて
自分のねじを巻くおまじないを始める
親指の指紋が 時刻表の横顔に触れ
蒲公英の綿毛が冒険に出発するときの
なまぬるい風を起こしたら
それが合図
行儀よく列を成していた数字は
いっせいに 少しずつ体を揺らし
互いにぶつかり合った勢いで
次々と 私の眼の奥へ弾け飛んで来る
もう じっとしていられない
こちらへ こちらへ
数字の波が 私を揺さぶる
膨らむ風に 私は舞い上がる
小さな冊子のページの中で
人混みの掲示板の一面で
ひとりの停留所で
てのひらの上のウェブ検索で
時刻の列をまたぎ
距離を飛び越え どこまでも
今は此処 此処が今
時間も 場所も 心のあとからついて来る
旅のおともに人生の時刻表
時間の流れを案内に
交差する出会いや別れも 追い風に変えて
踏み出す次の一歩