その潔さと優しさに微笑みたくなる
厳しさと優しさを併せ持つのは
椿の中でも白椿だけかもしれない
ふと視線をめぐらせてみる
我が家には様々な種類の椿があるが
一つとして同じ色のものはない
紅 白 ピンク 斑入りの白
艶めく妙齢の娘のような紅色
汚れなき乙女を彷彿とさせる真白
あどけない童女のようなピンク
そして雪のような純白でありながら
ほんの少し紅が混じった白
中でもいっとう好きなのは紅入りの白椿だ
何故なのだろう
私は椿を見ると
女性を連想してしまう
その色や形である年代の
どういう風な女性かをイメージして
花の姿に重ねる
私の好きな紅入りの白椿は
さしずめ少女から大人になりかけている
微妙な年頃だろうか
潔癖さを示す純白にほんの少し
傍で見なければ判らないほど僅かに
紅が散ったその色は
天真爛漫な女の子が
少しずつ大人への階段を上ってゆく姿に
似ている
いつもは無垢なのに
時々ハッとするほどの妖艶さが
その仕草や表情に混じる
真冬の凍てつく庭に佇みながら
私はしばし椿たちを眺める
それぞれの色をうつろいゆく
女の一生の瞬間瞬間に重ねながら