「それは、ぼくがたかくとべるさ」
と、ノミがいいました。
「いやいや、ぼくのほうが、たかくとべるさ」
と、バッタはまけずにいいました。
「あなたがたより、ぼくのほうがたかくとべますよ」
おもちゃのカエルも、そういいました。
「ぼくが、たかくとべる」
「いや、ぼくだ」
と、みんながいうので、きりがありません。
「それなら、だれが一番たかくとべるか、とびっこをしてみようじゃないか」
と、いうことにきまりました。
「どうせなら、できるだけ大ぜいの人をよんで、見てもらったほうがいい」
と、ノミがいいますと、
「ああ、いいとも」
と、バッタもカエルもさんせいしました。
この話しを、王さまもおききになって、
「わしも、見にいこう」
と、いったのです。
そればかりか、
「せっかくたかくとんでも、ほうびがなくてはつまるまい。一番たかくとんだものに、わしの娘をお嫁さんにあげるとしよう」
と、いうことになったのです。
さあ、とびっこきょうそうは、たいへんなひょうばんになりました。
その日になると、見物人がたくさんあつまりました。
まっさきにでてきたのは、ノミでした。
きどったようすで、見物人にむかっておじぎをしています。
つぎに、バッタがでました。
おしゃれな草色の服をきて、とてもきれいでした。
さいごには、カエルがでてきました。
カエルはとびでた目玉を、クルクルクルクルまわします。
いよいよ、とびっこがはじまりました。
ところがノミが、あんまりたかくとんだので、だれもそのいくさきがわからなくなってしまいました。
それで、
「とばなかったのじゃないか?」
そんなことを、いうものもありました。
そしてバッタは、王さまの顔にとびつきました。
「ぶれい者!」
王さまは、おこってしまいました。
おもちゃのカエルはピョンとはねて、お姫さまのひざにあがりました。
「キャアーー!」
お姫さまはおどろいてたちあがったので、ひざのカエルはコロリところげおちました。
これでとびっこは、しょうぶなしでおしまいになりました。