理由としては「きょうだいがいないため、王様状態で育ってきているから」とか、「競争相手がなく、差をつけられることがないから」「理不尽な目にあうことがないから」などといろいろな言い方がある。でも、結局のところ、親の育て方次第の面は大きいと思うし、個人差がかなりある気がする。
実際、「一人っ子=わがまま」に当てはまらない子も多く、個人的には、きょうだいがいる子よりもかえって“空気読み”だったり、遠慮がちだったりする子が多い気もする。
また、「競争相手がいない」からこそ、ガツガツしておらず、何でも他人に快く譲ってしまうお人好しや、親の愛情をたっぷり受けているだけに、意地悪なところのない素直な子、揉め事が嫌いな平和主義の子も多い気がするのだが……。
これってなぜなのか。精神科医で、「ゆうメンタルクリニック」総院長の、ゆうきゆう先生に聞いた。
「一人っ子の場合、『兄弟で仲良くしたり喧嘩したり』という経験がないために、他人との接し方には一歩引いている子も少なくありません。周囲に同年代の子供がおらず大人だけの場合、大人同士のコミュニケーションを見て学んでいくケースが多くなりますし、それをベースに大人と接していくために、かえって自己主張を控えるケースもあるんですね」
そのため、「極端に周囲が自分にだけ甘い」「子供だから大人は皆甘やかしてくれた」という環境で育った場合を除くと、一人っ子の方が大人びた態度をとる可能性が高いそうだ。
「また、大人に囲まれていれば『大人の機嫌を取る』ことや『大人のルールで言動を決めていく』ことで順応していくことも考えられますので、そういった意味でいわゆる『いい子』になってしまうこともあるでしょう」
確かに、大人の中で育ってきた一人っ子は、大人の話がよくわかり、聞き分けがよく、大人にとってすごく扱いやすい子というケースも多そうな気がする。
「加えて言えば、大人同士の『表面的な付き合い』『本音と建て前』というものを早いうちから使い分けるようになってしまい、なかなか人と打ち解けられなかったり、孤独を感じたりすることもあるのです」
「子供同士のコミュニケーション」で学ぶのではなく、常に「目上の顔色をうかがう」というくせがついてしまったという人も多く、実際のところはわがまま(自分を通す)ではなく「他人に流される」という人も多いそうだ。
ともあれ、「一人っ子」は誰でも本人が望んだわけではないだけに、周囲が考えなしに「一人っ子はいいね」あるいは「一人っ子は、かわいそう」などと言うのは、余計なお世話であり、避けたいところ。
「一人っ子=わがまま」という一方的な決めつけ・言われようにも、ひそかに傷つきつつ、「揉め事がイヤ」なので、否定せず流している一人っ子は案外多いかもしれませんよ。
難しい言葉:
【理不尽(りふじん)】不说理,不讲理。
¶理不尽な事をする/做不讲理的事。
¶理不尽に人をなぐる/不讲理地打人。
【がつがつ】贪婪,贪财。
¶金銭にあまりがつがつするな/不要过分贪图钱财。
¶がつがつ勉強する/贪婪地学习。
【大人びる】象大人样儿,带大人气。
¶その子はおとなびている/那个孩子一副大人的样子。
¶あの子は言葉づかいがおとなびている/那个孩子说话带大人气。