「ブルーベリーは目に良い」「魚の目玉を食べると目が良くなる」など、昔から視力にまつわる噂はよく耳にしますよね。でも、そういう噂って本当なのでしょうか?
そこで、湘南台はた眼科の院長・秦淳也先生に真相を教えてもらうことに! そもそも“食べると目が良くなる食べ物”ってあるんですか?
「結論からいうと、近視や乱視を回復させて劇的に視力をアップさせる食べ物はありません。ただ、“目の病気の予防”になったり、“眼精疲労の軽減”に効果的だったりする食べ物はあるんです。たとえば、病気の予防でいえば、ほうれん草やケールという野菜(キャベツの原種)などには、健全な網膜を維持するのに必要な『ルテイン』という栄養素が含まれています。これは『黄斑変性症』という失明の原因になる病気の予防に欠かせない栄養素なんです」
では、目に良いとよくいわれるブルーベリーはどうですか?
「ブルーベリーに含まれる『アントシアニン』は、眼疲労によく効くんです。目が疲れてくると、暗い場所が見えにくくなったり、目がかすんだりする症状が出てきますが、ブルーベリーを食べると、その症状が軽減されるんですね。ちなみに、ハスカップという北海道産のベリー系の植物も、目に良い食べ物のひとつ。この植物は、ブルーベリーの60倍のアントシアニンを含んでいるんですよ」
さらに、これらに含まれるアントシアニンは即効性が高く、食べると、その日のうちに効果が出るらしい! すぐに効果があるから、ブルーベリーは「視力をアップさせる」と思われていたのかも。
「また、目に良いという意味では、ビタミンAを多く含むニンジンやカボチャ、ウナギもオススメです。ビタミンAは、涙を作り出す眼の粘膜を健康にしてくれるので『ドライアイ』に効果的なんです」
視力を回復させる食べ物はなくても、目の様々な症状を改善してくれる食べ物はあるんですね。
「ただし、目に良い食べ物に関しては、間違った情報もたくさん出回っています。『魚の目玉を食べると、目が良くなる』なんて噂もありますが、魚の眼には栄養素以外に海水中の有害物質が蓄積されている場合が多く、逆にリスクのほうが高くなってしまうんです」
では、ほかに“食べると目に悪い”食べ物は?
「糖分を多く含むお菓子やジュース類ですね。これらは体内のカルシウムを減らし、新陳代謝が悪くなることで眼の水晶体や網膜を劣化させます。なので、糖分を摂り過ぎると、20代のうちから白内障になる可能性も出てきます。また、肉やジャンクフードなどの“酸性食品”は血液をドロドロにして眼球内の筋肉を衰えさせるので、結果として視力低下につながるケースもありますね」
甘いものや肉は目に良くないってこと?
「過剰摂取は良くないですね。実は、先ほど説明したブルーベリーも、糖分を多く含んでいます。“食べれば食べるほど目に良い”と思い込んで、摂り過ぎて、糖尿病になる人も少なくありません。糖尿病は最悪の場合、失明する可能性もありますからね」
では、毎日どれくらいの量を摂ればいいんでしょう?
「ブルーベリーに関しては、一日につき、ジャムをスプーン1杯摂るだけで十分効果があります。逆に、目に良くない酸性食品に関しては、含まれるタンパク質が“体重×1g”の量(70kgの男性なら70g)を超えないようにすることが目安。旧厚生省保健医療局が作成した『6つの基礎食品群』には、一日の摂取量の目安や、必要な栄養素がまとめてあります。これを参考にして、不足している“目に良い栄養素”を補うように摂りましょう」
パソコンやスマホを長時間使うなど、目に負担をかけやすい現代人の生活。これを機に、食生活から目の健康に気を配ってみては?
難しい言葉
【ルテイン】叶黄素(Lutein)
【アントシアニン】花青素(anthocyanin)
【ハスカップ】蓝靛果
【ジャンクフード】垃圾食品