中国では旧暦1月15日の元宵節が終わると、漸く新しい年が始まるという実感が湧いてきます。元宵の元は1月、宵は夜の意味で、旧暦1月15日は新年最初の満月の夜になります。
この日、人々は新しい春の到来を祝って、提灯に火を灯し、月を眺め、提灯に貼られた謎々を当てたりしながら一家団欒して過ごします。
元宵節の伝統
元宵節は灯節とも呼ばれ、漢の時代に始まりました。
唐の時代になると皇帝の宮殿や街道など、至るところに大小さまざまな提灯が飾られて「星が降るようだ」といわれる程になりました。
その後も民間の祭りとして益々盛んになり、明の時代には1月8日から18日まで10日間、火を灯し続けたそうです。
私のいた瀋陽では、今でも街中の商店に提灯が飾られ、とても賑わいます。
最近ではハルピンの氷灯祭りのように観光化されたものもあり、遠くまで出かけたりもします。
「元宵」を食べる
元宵節につきものの食べ物は、宋の時代から伝わる饅頭のようなものです。始めは「浮元子」と名付けられていましたが、いつの頃からか「元宵」と呼ばれるようになりました。
砂糖や小豆のこしあん、胡麻、サンザシなどの木の実をもち米の粉で包み、煮たり揚げたり蒸したりしたものです。「湯団」とか「湯円」とも呼ばれ、「団円」=「一家団欒」を象徴する食べ物とされます。
恋人節
封建的な時代には、若い女性は自由に外出できなかったので、未婚の若い男女が出会う機会はあまりありませんでした。元宵節の日は、花提灯を観賞するという口実で遊びに出かけ、相手を探すことができました。若い男女にとって元宵節の期間は、恋人に出会うための「恋人節」だったのです。
元宵節の習俗
この日一部の地方には、「走百病」と呼ばれる風習があります。病気を追い払い、災いを寄せ付けないようにと、女性たちが連れ立って路地を通り、橋を渡って郊外まで練り歩きます。
この他にも時代の推移によって、地方ごとに特徴のある風習ができています。