報告は改革開放の歩みを振り返ったうえで「長期の努力を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った」との認識を示した。
1期目の5年間で「『新時代の中国の特色ある社会主義』思想を形成した」と表明。「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を「全党・全国人民が中華民族の偉大な復興に奮闘する行動指針」と位置づけた。習氏の政治理念として、党大会で改正される党規約の中でも重要な「行動指針」に「毛沢東思想」や「トウ小平理論」などと並んで盛り込まれるとみられる。現役を続ける指導者の政治理念が「指針」に入れば毛沢東以来となり、理論面でも際だった権威を手にすることになる。
さらに、20年までに「小康社会(ややゆとりのある社会)」を全面完成▽35年までに経済力や科学技術力が大幅に向上し、生活水準の格差が著しく縮小した「社会主義の現代化」を基本実現▽今世紀半ばまでにはトップレベルの総合国力と国際影響力を持つ「社会主義現代化強国」を築き上げる--との目標を掲げた。
軍については「国防・軍隊改革に歴史的突破があった」と総括した上で、組織や装備の現代化を通じて今世紀半ばまでに世界一流の軍隊にすると表明した。一方、退役軍人を対象にした管理保障機構を設立することを明らかにし、改革に伴う人員削減に対し不満を抱える軍内部に配慮した。習氏は軍人とその家族の合法的な権利を守るとし、「軍人が社会全体から尊重される職業にする」と述べた。
台湾問題では「祖国の完全統一は中華民族全ての人々の共通の願い」と強調。同時に「『台湾独立』勢力のいかなる形の分裂活動も打ち破る意志と自信、能力がある」として独立の動きをけん制した。
習氏は党内の腐敗が国民の強い不満の対象になっており、政権基盤の最大の脅威であるとした上で、1期目に進めた反腐敗運動について「汚職を不可能にするオリがますます頑丈になった」と評価。「国家監察委員会」を新設するなど2期目も運動を継続していく姿勢を強調した。