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海のおばあさん

时间: 2022-10-31    进入日语论坛
核心提示:海のおばあさん小川未明大昔おおむかしのことでありました。海うみのおばあさんといって、たいそう気きむずかしやで、すこしのこ
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海のおばあさん

小川未明


大昔おおむかしのことでありました。海うみのおばあさんといって、たいそう気きむずかしやで、すこしのことにも腹はらを立たてるおそろしいおばあさんが海うみの中なかに住すんでいました。だれもあまり近寄ちかよりませんでしたから、おばあさんは、さびしかったのです。
ちょうど、そのころ、山やまに、また山やまのおばさんといって、やさしいおばさんが住すんでいました。だれにでもしんせつで、気きにいらないことがあっても、笑わらっているというふうでしたから、小鳥ことりたちや、空そらを飛とぶ雲くもでさえ、おばさんを慕したって、
「おばさん、きょうはいいお天気てんきですが、ご機嫌きげんはいかがですか?」と、いって、寄よってきました。いつも、おばさんは、楽たのしかったのです。
あるとき、海うみのおばあさんは、風かぜを使つかいにたて、
「私わたしは独ひとりぽっちでさびしいから、どうぞお話はなしにいらしてください。」と、山やまのおばさんのところへいってきました。
「それはお気きの毒どくのことだ、さっそくいってあげましょう。」と、いって、山やまのおばさんは、大おおきなざるの中なかへ新あたらしい野菜やさいと珍めずらしい果物くだものをたくさん入いれて、お土産みやげにして海うみのおばあさんのところを訪たずねました。
「よく、きてくれました。」と、おばあさんは出迎でむかえました。
「これは、山やまで取とれましたものですが、どうぞめしあがってください。」と、おばさんは、ざるに入はいった土産みやげを出だしますと、おばあさんは、
「これは、これは。」といって、まだ見みたことのないものばかりなので、喜よろこびました。
いろいろお話はなしをして、おばさんが帰かえるときにおばあさんは、魚さかなと貝かいを取とり出だして、
「これはすこしばかりだが、海うみのものだから持もって帰かえってください。」と、いいました。おばさんは、お礼れいを申もうして、さて、魚さかなと貝かいをなんに入いれていったらいいものかと考かんがえましたが、なにもなかったので、
「おばあさん、すみませんが、そのざるをお貸かしください。」と、いって、自分じぶんの土産みやげを入いれてきたざるを借かりて帰かえりました。
山やまのおばさんは、ざるのことなど忘わすれてしまいましたが、海うみのおばあさんは、いつまでたってもおばさんが、ざるを返かえさないので腹はらを立たてていました。このことを、風かぜに相談そうだんしましたが、風かぜもあまり海うみのおばあさんが、やかましすぎると思おもったので、聞きき流ながしてしまいました。
それからというもの、おばあさんの心こころが海うみに残のこっていて、いまにも、浜辺はまべへ打うち寄よせる波なみの音おとが、
「ざるかえせ――、ざるかえせ――。」と、なりつづけているのであります。
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