返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

子供の時分の話(3)

时间: 2022-11-01    进入日语论坛
核心提示: おじいさんは、どこをどう歩あるいているのだか私わたしにはわかりませんでした。だいぶん長ながい間あいだ歩あるいたと思おも
(单词翻译:双击或拖选)
 おじいさんは、どこをどう歩あるいているのだか私わたしにはわかりませんでした。だいぶん長ながい間あいだ歩あるいたと思おもう時分じぶんに、おじいさんは屋台やたいを下おろしました。そして、箱はこの中なかから私わたしを外そとに出だしました。このときよく見みると、おじいさんの顔かおは、まったく気味きみが悪わるいほど色いろが白しろく、目めが光ひかっていました。私わたしはいつも村むらにやってくる無愛想ぶあいそうな、あめ売うりじいさんを思おもい出だして、どれほど、その人ひとのほうがいいかしれないと思おもいました。
「さあ、なんにも怖こわいことはない。私わたしといっしょにくるのだ。」と、おじいさんは、屋台やたいを木きの下したに置おいたまま先さきに立たって歩あるきました。私わたしは、そこがどこだか、ちっともわかりませんでした。さびしい山やまの間あいだで、両方りょうほうには松まつの木きや、いろいろな雑木ぞうきのしげった山やまが重かさなり合あっていました。そして、ただ一筋ひとすじの細ほそい路みちが谷たにの間あいだについていました。
おじいさんについて、どんなところへ連つれていかれるのかと心配しんぱいしながら歩あるいてゆくと、はや、せみの松林まつばやしで鳴ないている声こえが聞きこえました。日ひが暮くれたら、どうなるのだろうと思おもうと、もう一足ひとあしも歩あるく気きになれなかったけれど、路みちがわからないので逃にげ出だすこともできなかったのであります。お母かあさんや、おばあさんが、私わたしをたずねて、心配しんぱいしていなさるだろうと思おもうと、私わたしは胸むねがふさがるような気きがしました。
「さあ、この峠とうげを越こすと、もうじきだ。」と、おじいさんはいいました。
どんなところへゆくのだろうと、私わたしはそればかり思おもわれて、心配しんぱいでなりませんでした。
やがて峠とうげを越こすと、三、四軒けんの古ふるい粗末そまつな家うちが建たっていました。おじいさんは、その一軒けんの家うちに私わたしを連つれて入はいりました。すると、そこには肌はだぬぎになって、大男おおおとこが四、五人にんで、花はながるたをしていました。そして、大おおきな目めをむいて、けんめいにかるたをとっていました。
「こんな子供こどもをつれてきた。」と、おじいさんは、みんなに向むかっていいました。けれども、だれも相手あいてにならずに、かるたのほうに気きを取とられて夢中むちゅうになっていました。
「どれ、湯ゆに入はいってこよう。」と、おじいさんはいって出でてゆきました。
そこは沸わかし湯ゆの湯治場とうじばであったのです。私わたしは独ひとりすわって、このものすごい室しつの内うちを見みまわしていました。まだランプも、電燈でんとうもなく、ただ古ふるぼけた行燈あんどんが、すみのところに置おいてありました。私わたしは心こころで、これはきっと悪者わるものどもの巣窟そうくつであると考かんがえました。そして、この間あいだに逃にげ出ださなければならぬと思おもいました。私わたしは、よくそのときのことを覚おぼえています。このとき、按摩あんまが笛ふえを吹ふいて家いえの前まえを通とおりました。
私わたしは決心けっしんをして、男おとこどもに気きづかれぬように、そっと室しつを出でて、下駄げたをはきました。そして、だれか見みていぬかと四辺あたりを見みまわしますと、勝手かってもとのところで、まだ若わかい女おんなが、白しろい手てぬぐいをかぶって働はたらいていました。私わたしは、その女おんなの人ひとがなんとなくやさしい人ひとに見みえましたので、そのそばへいって、
「小母おばさん、どうか私わたしを家うちへ帰かえしておくれ。」と、泣ないてたもとにすがりました。すると、やさしそうなその女おんなの人ひとは、じっと私わたしの顔かおを見みていましたが、
「知しれるとたいへんだから、早はやく私わたしにおぶさり、あのおじいさんのいないまに逃にげなければならないから。」と、女おんなの人ひとはいって、白しろい手てぬぐいをとって、その手てぬぐいで、私わたしの顔かおをわからないように隠かくしました。私わたしは、目めをふさがれて、女おんなの肩かたにつかまり、その脊せにおぶさりますと、女おんなはすぐにそこから音おとのしないように歩あるき出だして、きたときの峠とうげを下くだりました。
やがて女おんなは二、三丁ちょうもくると、息いきをせいて、私わたしを下おろして休やすみました。けれど、まだ私わたしの目めから手てぬぐいをはずしませんでした。
「わたしは、みんなに知しれるとひどいめにあいますから、ここから帰かえりますよ。坊ぼっちゃんは、いまあっちからくる馬方うまかたに頼たのんであげます。」と、女おんなはいって、ガラガラと馬うまに車くるまを引ひかせてきた馬方うまかたに、なにやら小声こごえで女おんなはいっていました。
「また、達者たっしゃだったら坊ぼっちゃんにあいますよ。けれど、だれかがとってくれるまで、独ひとりで手てぬぐいをとってはいけませんよ。」と、女おんなはいいました。私わたしは、黙だまってうなずきました。そしてなんとなく、このやさしい女おんなに別わかれるのが悲かなしゅうございました。
私わたしは車くるまの上うえに乗のせられて、長ながい間あいだ、知しらぬ街道かいどうをガラガラと引ひかれていったのであります。どんなところを通とおったか、どんな景色けしきであったか、目めを隠かくされているので、すこしもわからなかったのです。そして、あるところにきたときに、
「ここだ。」といって、馬方うまかたは車くるまを止とめ、
「さあ下おりた。そして、すこしここに立たって待まっているのだ。」といって、私わたしを抱だき下おろしてくれました。
私わたしは、いわれるままに立たっていました。そのうちに馬方うまかたは、馬うまを引ひいていってしまいました。ガラガラと車くるまの音おとは、しばらく遠とおくなるまで私わたしの耳みみに聞きこえていました。
いつまで待まっても、いつまで待まっても、だれもきてくれなかったのです。私わたしは、ついに悲かなしくなって泣なき出だしました。大おおきな声こえをあげて泣なき出だしました。すると、だれかきて、私わたしの目めかくしを取とってくれました。
見みると、それは私わたしのおとうさんで、私わたしは村むらはずれの大おおきな並木なみきのかげに立たっていました。
日ひは、もうとっくに暮くれていたのであります。


轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: