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ごみだらけの豆(2)

时间: 2022-11-01    进入日语论坛
核心提示: その日ひから、年としちゃんは、はとぽっぽが、なによりもいちばん大好だいすきになったのであります。お母かあさんは、これま
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 その日ひから、年としちゃんは、はとぽっぽが、なによりもいちばん大好だいすきになったのであります。
お母かあさんは、これまで箱はこの中なかにはいっている、豆まめを見みますと、
「ほんとうに、もったいない。」といっていられました。
美代子みよこも、その豆まめを見みますと、たとえあの際さいだからといって、よくも、こんな豆まめを売うったものだと、乾物屋かんぶつやの人ひとたちをうらめしく思おもわずにはいられませんでした。
「ねえ、姉ねえちゃん、はとぽっぽへゆくのだよ。」と、年としちゃんは、それからは、毎日まいにち、お昼ひるごろになるといいだしました。
「さあ、おねんねおし。そして、起おきたら、つれていってあげましょうね。」と、姉ねえさんも、お母かあさんも、どうかして、だまそうと思おもいました。
年としちゃんは、おとなしく眠ねむることもありました。また、どうしても、すぐにいってみるといいはったこともありました。また、たとえ眠ねむってしまっても、起おきると忘わすれずに、
「姉ねえちゃん、お宮みやへゆくんだよ。」といったのであります。
「ああ、お母かあさん。うちに、あの豆まめがありましたね。あれを持もっていって、はとぽっぽにやるといいわ。」と、美代子みよこは思おもいついて、いいました。
「ああ、それがいい。」と、お母かあさんも、答こたえられました。
それから、毎日まいにちのように、食たべられなかった白豆しろまめを袋ふくろの中なかにいれては、年としちゃんは、姉ねえさんにつれられて、はとぽっぽを見みにいって、その豆まめをまいてやりました。
お宮みやのはとは、すっかり年としちゃんになれてしまいました。そして、もう、年としちゃんのやってくる時分じぶんだと思おもうと、お宮みやの屋根やねの上うえからまた鳥居とりいの頂いただきから、じっと、いつも年としちゃんのくる方ほうをながめていました。そして、年としちゃんの姿すがたを見みると、みんな、年としちゃんの身みのまわりに集あつまってきました。
しまいには、年としちゃんばかりでありません。美代子みよこまではとがかわいらしくなってたまらなかったのです。
それから、二人ふたりは、毎日まいにち、お天気てんきさえよければ、お宮みやへまいりました。
「うちに、豆まめがあるから、いいようなものの、そう毎日まいにち、はとぽっぽへいって、豆まめを買かってやったんでは、たいへんですよ。」
と、お母かあさんは、笑わらっていわれました。
「ねえ、年としちゃん、うちの豆まめがなくなるまではとぽっぽへゆきましょうね。だけど豆まめがなくなったらゆくのをよしましょうね。」
と、美代子みよこはいいました。
その後のち、二人ふたりは、どんなに、豆まめがだんだん少すくなくなるのを惜おしんだでしょう。また、豆まめがなくなってしまったら、はとは、どんなにさびしく思おもうでしょう。年としちゃんと姉ねえさんが、やってくるだろうと思おもって、待まっているのに、とうとう二人ふたりの姿すがたを見みることができなかったら、はとは、悲かなしむだろうと思おもわれました。
「まあ、あんなに、たくさんあった豆まめが、もう半分はんぶんぐらいになってよ。」と、ある日ひ、美代子みよこは、年としちゃんに向むかっていいました。
そして、いまでは、お母かあさんも、美代子みよこも乾物屋かんぶつやの人ひとたちが、不ふしんせつであったということを忘わすれてしまいました。
あのとき、買かってきた豆まめがいい豆まめであったら、こんなに、楽たのしく、年としちゃんを楽たのしませなかったろう? また、はとを喜よろこばすことができなかったろうと思おもいますと、かえって、食たべられなかったのが、しあわせになったのでありました。
姉あねと弟おとうとは、今日きょうも、いつものごとく、お宮みやの境内けいだいに近ちかづきますと、はとが喜よろこんで、ポッポ、ポッポと鳴ないていました。これを見みて、美代子みよこが、あのごみの混まじった豆まめが、どれほど長ながいこと、はとや子供こどもを喜よろこばしたろうと感心かんしんしたのであります。
――一九二四・六作――
 
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