返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

酒屋のワン公(2)

时间: 2022-11-03    进入日语论坛
核心提示: ワン公(こう)は、遠方(えんぽう)まで用(よう)たしにやられました。帰(かえ)る途中(とちゅう)で、空(そら)の模様(もよう)が変(
(单词翻译:双击或拖选)


 ワン公(こう)は、遠方(えんぽう)まで用(よう)たしにやられました。帰(かえ)る途中(とちゅう)で、空(そら)の模様(もよう)が変(か)わって、雷(かみなり)が鳴(な)り、ひどい夕立(ゆうだち)となりました。彼(かれ)は、小(ちい)さな御堂(おどう)のひさしの下(した)にはいって、すくんでいたのであります。けれど、雨(あめ)は、容易(ようい)にやみそうもなく、青(あお)い電(いなびかり)の光(ひかり)は、身(み)のまわりを縫(ぬ)うようにひらめき、すぐ頭(あたま)の上(うえ)では、いまにも落(お)ちそうに雷(かみなり)が鳴(な)ったのです。彼(かれ)は、めったに、こんな怖(おそ)ろしいめにあったことはなかったのでした。
「ワン公(こう)、どうだ。主人(しゅじん)ににらまれるのと、どっちがこわい?」と、暗(くら)い、御堂(おどう)の内(うち)から、声(こえ)がしたような気(き)がしました。
 彼(かれ)は、じっと自分(じぶん)をにらむ、意地悪(いじわる)そうな主人(しゅじん)の目(め)を思(おも)いうかべました。また、自分(じぶん)を犬(いぬ)の歩(ある)きつきに似(に)ている、といってあざ笑(わら)う近所(きんじょ)の子供(こども)たちの顔(かお)を目(め)に描(えが)きました。すると、この自然(しぜん)の怖(おそ)ろしさは、さすがに公平(こうへい)であるというような気(き)がしたのです。なぜなら、自分(じぶん)ひとりが怖(おそ)ろしいのでない。しかし、主人(しゅじん)の目(め)は、ひとり、自分(じぶん)にばかり注(そそ)がれているように考(かんが)えられたからです。彼(かれ)は、公平(こうへい)な神(かみ)さまに向(む)かって訴(うった)えたなら、あるいは、自分(じぶん)の願(ねが)いを聞(き)いてくだされないことはないという気(き)がした。
「神(かみ)さま、どうぞ、私(わたし)をお助(たす)けくださいまし。」と、彼(かれ)は、答(こた)えるかわりに、暗(くら)い、御堂(おどう)の内(うち)に向(む)かって手(て)を合(あ)わせて拝(おが)んだのです。
 いつしか、雨(あめ)は、小降(こぶ)りとなり、雷(かみなり)はだんだん遠(とお)くへ去(さ)ってゆきました。
 野中(のなか)を流(なが)れている小川(おがわ)には、水(みず)がいっぱいあふれて橋(はし)の上(うえ)を越(こ)えていましたから、どこが道(みち)だかわかりませんでした。このとき、どこからか、青々(あおあお)とした、田(た)の上(うえ)を飛(と)んで、すがすがしい空気(くうき)に、羽音(はおと)をたてる一羽(わ)の黒(くろ)い水鳥(みずどり)があったかと思(おも)うと、小川(おがわ)の淵(ふち)に下(お)りました。それは、くちばしの黄色(きいろ)い鷭(ばん)だったのです。
 鷭(ばん)は、首(くび)を傾(かたむ)けて考(かんが)えていましたが、やがて、流(なが)れをまっすぐにあちらへ横切(よこぎ)ってゆきました。流(なが)れには、さんらんとして、さざなみが雨(あめ)の晴(は)れた夕空(ゆうぞら)の下(した)に生(しょう)じました。
 西(にし)に沈(しず)みかけていた、真(ま)っ赤(か)な太陽(たいよう)は、
「おお、元気(げんき)だな。」と、鷭(ばん)に声(こえ)をかけました。
「やさしい、酒屋(さかや)の小僧(こぞう)さんが、途方(とほう)にくれていますから、水先案内(みずさきあんない)をしてやります。」と、鷭(ばん)は、かわいらしい目(め)を上(あ)げて太陽(たいよう)を見(み)ました。
 その夜(よ)、ワン公(こう)は、着物(きもの)をぬらして帰(かえ)ったといって、酒屋(さかや)のおかみさんにしかられていたのです。
「こんなに、着物(きもの)をぬらすなんて、おまえ、ぼんやりだからだよ。」
 彼(かれ)は、どんな場合(ばあい)にでも、自分(じぶん)に、同情(どうじょう)してくれるものがないのを悲(かな)しく感(かん)じました。

 白壁(しらかべ)の蔭(かげ)にたって、ワン公(こう)は、芋(いも)の葉(は)の上(うえ)に止(と)まった露(つゆ)を見(み)て、空想(くうそう)にふけったのです。
「自分(じぶん)はあの露(つゆ)だったら、なんの悲(かな)しいこともないだろう。お月(つき)さまが、おまえはもうすこし世(よ)の中(なか)におれといわれたら、ああして、私(わたし)は芋(いも)の葉(は)の上(うえ)にころがっている。そしてまた、おまえはもう天国(てんごく)へきてもいいとお招(まね)きになったら、喜(よろこ)んでお月(つき)さまのところへゆく。そこには自分(じぶん)がまだ顔(かお)を知(し)らない、お母(かあ)さんもお父(とう)さんも、みんな露(つゆ)になって光(ひか)っていなさるだろう……。」
 彼(かれ)は、月(つき)を見上(みあ)げて、
「お月(つき)さま、私(わたし)は、正直(しょうじき)に働(はたら)いていますけれど、だれも私(わたし)をかわいそうと思(おも)ってくれるものがありません……。」と、訴(うった)えたのであります。
 このとき、ふいに、目(め)の前(まえ)へ美(うつく)しい、やさしそうな女(おんな)があらわれました。少年(しょうねん)は、びっくりしました。よく、月(つき)の明(あ)かりでその顔(かお)を見(み)ると、どこか見覚(みおぼ)えのあるような気(き)がしました。
「わたしが、いいところへつれていってあげます。この世(よ)の中(なか)には、もっと正(ただ)しいことも、幸福(こうふく)なこともたくさんあるのですよ。わたしは、町(まち)や、村(むら)や、方々(ほうぼう)を歩(ある)いてきました。そして、どこにしんせつな、よく道理(どうり)のわかる人間(にんげん)が住(す)んでいるかということも知(し)っています。わたしは、今日(きょう)から、あなたのお母(かあ)さんになって世話(せわ)をしてあげますから……さあ、まいりましょう。」
 考(かんが)えると、いつか犬(いぬ)にかまれた三味線弾(しゃみせんひ)きの女(おんな)でした。酒屋(さかや)のワン公(こう)は、この人(ひと)につれられて遠(とお)くいってしまいました。

 

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: