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すみれとうぐいすの話(2)

时间: 2022-11-17    进入日语论坛
核心提示: すみれは、これを聞(き)くと、うぐいすのいったことは、自分(じぶん)をからかうためではなかったということを知(し)りました。
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 すみれは、これを聞(き)くと、うぐいすのいったことは、自分(じぶん)をからかうためではなかったということを知(し)りました。そして、うぐいすにも、やはり自分(じぶん)と同(おな)じような、なやみのあることを知(し)ったのであります。
 そこで、すみれは、自分(じぶん)が、この美(うつく)しい色(いろ)と、香(にお)いのあるために、安心(あんしん)した生活(せいかつ)が送(おく)られないことを、うぐいすに語(かた)らずにはいられませんでした。
 うぐいすは、やさしいすみれのいうことを、同情(どうじょう)して聞(き)いていました。そして、どうして、この二人(ふたり)は、たがいに、不(ふ)しあわせに生(う)まれてきたのだろうと憫(あわ)れみ合(あ)ったのです。
 空(そら)の上(うえ)で、太陽(たいよう)は、このすみれとうぐいすの話(はなし)をきいていました。
「ふたりは、同(おな)じような不平(ふへい)をいっているのだな。」と、太陽(たいよう)は、にこやかに、下(した)を向(む)いていいました。
 すみれも、うぐいすも、びっくりして上(うえ)を仰(あお)ぎました。そして、自分(じぶん)たちのお父(とう)さんであり、お母(かあ)さんである太陽(たいよう)でありましたから、ふたりは、たがいに、いま話(はな)し合(あ)っていたことを訴(うった)えたのであります。
 すると、太陽(たいよう)は、しばらく考(かんが)えていましたが、まず最初(さいしょ)に、すみれに向(む)かって、
「昔(むかし)、おまえさんの先祖(せんぞ)は、ちょうど、それと反対(はんたい)なことをいったものだ。あまり小(ちい)さいので、だれの目(め)にもとまらない。いつもものの蔭(かげ)に小(ちい)さくなって咲(さ)いていなければならぬ。また、たまたま広々(ひろびろ)とした野原(のはら)に咲(さ)こうものなら、馬(うま)の脚(あし)や、人間(にんげん)の足(あし)の下(した)に踏(ふ)まれて、はかなく散(ち)ってしまわなければならない。ちょうもこなければ、みつばちもやってこない。どうか、わたしたちを目(め)につくように、そして、美(うつく)しいちょうや、きれいなとんぼや、またかわいらしいみつばちのくるようにしてくださいと頼(たの)んだものだ。それで、俺(わし)は考(かんが)えたすえに、いい香(にお)いを与(あた)えたのだ。それからは、みんなの目(め)にとまるようになった。人間(にんげん)はおまえさんたちを愛(あい)した。ちょうも、みつばちも、みんなおまえさんたちを慕(した)って、遠(とお)くから飛(と)んでくるようになった。それから、長(なが)い間(あいだ)、おまえさんたちは、幸福(こうふく)であった。それが、いま、かえって不平(ふへい)の種(たね)になろうとは考(かんが)えなかった。」と、太陽(たいよう)はいいました。
 すみれは、太陽(たいよう)のいうことを聞(き)いていましたが、太陽(たいよう)が、いい終(お)わると、
「なんて、わたしたちの先祖(せんぞ)は、ばかだったのでしょう。わたしは、だれに知(し)られなくてもいいから、平和(へいわ)に暮(く)らしたいのでございます。」と、すみれはいいました。
 太陽(たいよう)は、つぎに、うぐいすに向(む)かって、
「おまえさんの先祖(せんぞ)も、やぶや、林(はやし)の中(なか)で、赤(あか)い実(み)をつついて飛(と)んでいたものだ。そして、いつも声(こえ)の悪(わる)いのを歎(なげ)いたものだ。ほかの小鳥(ことり)は木(き)の枝(えだ)に止(と)まって誇(ほこ)り顔(がお)に、いい声(こえ)で鳴(な)いているのに、なぜ自分(じぶん)たちは、こんなに、声(こえ)がかすれているのだろうかとうらんだものだ。そのとき、俺(わし)は、もし、声(こえ)がよかったら、ほかの鳥(とり)にそねまれたり、人間(にんげん)にねらわれたりして、安心(あんしん)した生活(せいかつ)が送(おく)られないといった。すると、おまえさんの先祖(せんぞ)は、どんなに短(みじか)い生涯(しょうがい)でもいいから華(はな)やかに送(おく)りたいものだといった。それで、俺(わし)は、いちばんいい声(こえ)を与(あた)えたのだ。するとおまえさんの先祖(せんぞ)たちは、どんなに喜(よろこ)んだろう。鳥(とり)の中(なか)の王(おう)さまになったといってありがたがった。それを、おまえさんは、かえって、不平(ふへい)に思(おも)うとは、どういうことだ。」といいました。
 うぐいすは、太陽(たいよう)のいうことを静(しず)かに、頭(あたま)を傾(かたむ)けて、聞(き)いていましたが、
「ああ、なんという自分(じぶん)たちの先祖(せんぞ)たちは、虚栄心(きょえいしん)が強(つよ)かったでしょう。私(わたし)は、名(な)もない、つまらない鳥(とり)になりたいものです。そうしたら、不安(ふあん)なしに、一生(しょう)を送(おく)られるでありましょう。」と、うぐいすはいいました。
 そこで、太陽(たいよう)は、このふたりの願(ねが)いをきいてやりました。そのすみれからは、香気(こうき)を抜(ぬ)き去(さ)りました。そして、そのうぐいすからは、いい声(こえ)を奪(うば)ってしまいました。
「さあ、ふたりとも、これでいいだろう。」と、太陽(たいよう)はいって、また、昔(むかし)のごとく、まじめな顔(かお)つきに返(かえ)って、大空(おおぞら)で輝(かがや)きました。
 その後(ご)、このすみれのところへは、うぐいすもやってこなければ、みつばちもまた飛(と)んではきませんでした。
 うぐいすは、やぶの中(なか)を飛(と)びまわって、かすれた声(こえ)で、しきりと鳴(な)いていましたが、ふたたび、ふり向(む)くものはありませんでした。こうして、長(なが)い月日(つきひ)がたちました。
 あるとき、すみれは、そばのやぶの中(なか)で、かすれたうぐいすの鳴(な)く声(こえ)をききました。そして、思(おも)いました。なんという、いやな声(こえ)だろう、あんな声(こえ)で鳴(な)いているのでは、むしろ、おしになってしまったほうがいい。そう思(おも)いながら、
「うぐいすさん。その後(ご)は、どうでございますか。」と、すみれはききました。うぐいすは、不憫(ふびん)そうに、すみれを見(み)ながら、
「私(わたし)は、しごく平和(へいわ)に日(ひ)を暮(く)らしています。それにつけても、あなたは、香(にお)いをなくしてしまって惜(お)しいことをしたものですね。」といいました。すると、すみれは小(ちい)さな頭(あたま)を振(ふ)って、
「わたしは、しあわせな日(ひ)を送(おく)っています。今年(ことし)は、お蔭(かげ)でたくさん実(み)を結(むす)びました。」と答(こた)えたのです。

 

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