春のはじめの歌
2 ほのぼのと春こそ空に来にけらし天あまの香か具ぐ山霞たなびく\
太上天皇
【通釈】
2 ほんのりと春はまず空にやって来たらしいよ。天の香具山に霞がたなびいている。本歌「久方の天の香具山この夕霞たなびく春立つらしも」(万葉・巻一〇・一八一二・柿本人麻呂歌集)。○ほのぼのと ほんのりと。○天の香具山 大和国の歌枕。奈良県橿原市。畝傍(うねび)山、耳成(みみなし)山とともに、大和三山の一。天から降ってきたという伝説により、「天の」という。▽元久二年(一二〇五)三月日吉三十首の詠。藤原良経の「久方の雲居に春の立ちぬれば空にぞ霞む天のかご山」(正治二年院初度百首)が先行する。