梅花遠薫といへる心をよみ侍りける
43 心あらば問はましものを梅が香にたが里よりかにほひ来つらむ
源俊頼朝臣
【通釈】
43 もしも梅に心があるならば問おうものを。一体誰の住んでいる里から薫ってきたのかと。○上句 非情の物に問いたいという発想は、「住吉の岸の姫松人ならば幾世か経しと問はましものを」(古今·雑上·読人しらず)など、珍しくない。○下句 誰の住んでいる遠い里から匂ってきたのかということで、「梅花遠薫」という結題(〈むすびだい〉·二つの観念を結び合わせた題)の「遠」を表現する。なお、四句の「里」は、底本では「袖」、諸本により改める。▽俊頼の家集、散木奇歌集で正月の歌。