医食同源の伝統の歴史は、周の時代に遡ることができる。古書には食事療法に関する論述が多い。唐の時代の医学者、孫思邈の書いた『千金方』と『千金翼方』には食事療法に関する専門的な論述があり、古代の食事療法の発展に大きな影響を与えた。
孫思邈は「健康を保つには合理的な飲食を基礎とする。薬を乱用してはいけない。医者がまず病気の原因をはっきりさせ、食事療法で治療し始め、効果がなければ、薬で治療することを主張している。中国の民間に伝わる食事療法と薬膳はいずれも孫思邈の食療法の観点からきたものだ。
孫思邈は100歳以上も生きた。この事実によって、当時の人々が孫思邈の食療法と養生の理念を心から認めるようになった。だんだん食事療法と薬膳は民間で健康を保ち、病気を予防し、治療するものとなってきた。
食事療法は食べ物を薬とすることだ。一般の野菜で病気を予防し治療できることは中国でよく知られている。例えば、風邪を引くと、新鮮な生姜を薄切れにして、それに短く切ったねぎの白い根と黒砂糖きびで作った砂糖を水に入れて煮て、沸いたら熱いうちに飲む。汗をかいて、治るのだ。この他、塩や酢、ねぎなどはそれぞれ、治療の効果がある。
花の種類は多く、北方では食用にできる花が100種類以上もある。また、植物の王国と呼ばれている雲南省では、食用にできる花の種類は260をも超えている。花を食べることは体に良いことだ。例えば、恋を象徴するバラの花は女性の生理や美容にも有益だ。
薬膳は薬を食べ物にして、病気を治すことだ。薬膳は古代から現在まで非常に人気がある。このため、薬膳のレストランはたくさん設けられてきた。薬膳の種類と言えば、おかゆやスープなどがある。例えば、山芋にハトムギや干し柿などをお米と一緒におかゆにすれば、子供の胃腸の病気を直すことができる。
中国の「食品衛生法」は、食品に薬品の添加禁止を明確にしている。これは薬膳と少し矛盾しているため、関係部門は数十種類の食品に添加できる漢方薬を指定した。例えば、棗や干した生姜、山揸、薄荷などだ。
中国の薬膳は国内だけではなく、国際市場にも進出している。例えば、菊酒やみかんの皮茶など、多くの外国人に喜ばれている。