旧暦のお正月―春節は、一年の中で最も盛大な祝日である。旧正月の15日の元宵節に食べる元宵は旧正月の食習慣の最後を飾る。この日、どの家も餡の入ったお団子の元宵を食べる。しかし、南方ではこの元宵を『湯圆』と言う。南北ではその作り方も違う。
北方では、まず、砂糖を入れたごまや落花生、小豆で作った餡子を丸くピンポンの玉のような大きさにして、少々水をつけて、お盆のようなもにもち米の粉を敷いて、卵より少し小さい団子なるまで揺がす。現在では人々は自分では団子を作らず、店で買って食べる。北京では『稲香村』と『桂香村』という老舗の元宵は最も人気がある。
南の方では、元宵節になると多くの家で、「湯圓」と呼ぶ元宵を作る。それは北方のものと、具の餡子はほとんど同じだが、作り方は違う。揺がすのではなく、皮を作って包むのだ。南の方では寧波の「湯圓」が有名。
元宵にしろ、「湯圓」にしろ、いずれもゆでて食べる。丸い形をしている元宵と湯圓は円満や団欒を象徴する意味がある。
粽は祝日の食品として、長い歴史を持っている。民間では、端午節に粽を食べるのは偉大な詩人・屈原を記念するためのものだと見られている。紀元前3世紀の頃、屈原の祖国・楚国が打ち破られた時、屈原は世をはかなんで旧暦の5月5日に川に身を投げた。その後、毎年、この日になると人々は粽を作って、屈原を偲ぶようになった。
粽は祝日の食べ物だけではなく、民間では、親友間の贈り物でもある。端午節になると、人々は粽をお土産に持って行き、挨拶を交わす。
旧暦の8月15日は中秋節である。この夜の月は一番丸いので、一家団欒の日とも言われる。中秋の日の夜、月を観賞する時、欠かせないのは月餅だ。丸い形をした月餅の表には伝説に出てくる仙女嫦娥の月に赴く様子と豊作を表す図が描かれている。
中秋節の夜、月が上ると、月餅や色々な果物をお月様に供える習慣がある。月を拝した後、人々は月餅を食べて、一家の団欒と円満を祈る。
中国各地で作られた月餅の味はそれぞれ違う。北京や蘇州、広東、潮州を代表とする味と種類の月餅がある。
その餡子はほとんど棗や小豆、蓮の実、果物などで作られている。