大理のパイ族は、かまどの新しい火を取ると、それで香をたき、紙でできたお金を焼き、火の神様におくります。この火の神様は、火龍大帝とか、火塘とか、火徳星君などとよばれています。写真の中の火龍大帝は、帝王の衣装を身にまとい、帝王の人相をしています。顔は端正で、5つに髭を束ね、厳しい表情をしています。神様の周りには、龍が舞い、炎が燃えています。絵の下部には、「火龍大帝」と書かれており、非常に形式的なものです。この絵が大理のパイ族の典型的な風格なのです。
中国西南部にある雲南省は少数民族が多く住む地域です。この地方の神様の祀り方は独特です。ここの神様は人間のようであり、かつ神秘的な色合いをもっています。特にパイ族の特色は顕著で、絵には原始的素朴さがあります。絵には特に決まった形式はなく、また細かい線もありません。しかし、供養の方法だけが、その他の地域と比べて複雑なのです。