九寨溝にある多くの湖沼は、水中に溶け込んでいる炭酸カルシウムの影響を受けている。太古の氷河期、水中の炭酸カルシウムは固まらず、水と共に流れていた。12000年前になると、気温が上昇し炭酸カルシウムが入った水は、障害物に当たるとそのまま付着していった。これが固まり年月が経つにつれて、いまの乳白色の棚田状の湖群をつくる堤防が形成されていった。これらが積み重なり、今の「海子」と呼ばれる「堰塞湖」になった。主に第4紀古氷河期に形成された九寨溝には、現在、大量の遺跡も残されている。また、石灰分の沈殿によって、湖底、堤防と湖畔に乳白色の結晶が見られ、その上に、雪水が流れ入り、階段状の湖に濾過され、水はより一層透明度が高くなっている。
九寨溝の気候は過ごし易く、冬も風がなく、夏は涼しく、四季折々に美しいので、世界的に見て旅行に最適な観光地の1つである。美しく原始的である景色は、主に樹正区と則査窪、日則の両支流に分布しており、独特な高山湖沼と滝群から成る自然の景色は、湖沼、滝、川原、渓流、雪を頂いた峰、森林とチベット風情の集大成である。1992年に世界遺産に登録されている。