そして帰宅。日が少し傾きかけている。早速庭の一角にある菜園の収穫に入る。農家出身のばあばが亡くなる直前まで丹精込めて野菜作りに励んでいた菜園だが、その後両親が引き継ぎ、この時期にはトマト、ナス、キュウリが育っている。ところが子はナスとキュウリのところに行き、大きいのを選んで摘み出した。「何で」と尋ねると「大きい方がばあばとじいじが一緒に乗って来れるでしょう」と。ここでじいじが出てきた。さらに「お友達も来れるように沢山お馬さんをこしらえましょう」とも。文句の言い用がない。よくこれだけおしゃまに育ったものと思い夫に目をやると同じ表情を向けてくる。
薄暗くなると迎え火の後ろに馬を置く。手を合わせしきりに祈りを捧げる子。その後ろで母に収穫時の話をすると「まあっ」と言い、むしろ頼もしそうな表情を見せる。賢い子とでも思ったのだろうか、同じことでも受け取り方は世代により異なるようだ。子は親の鏡と言うが、うちの場合子の方が鏡だな、と思う。多分、夫もそう思っているのではないか。