誰でも反抗期という経験はあると思うが、私の反抗期は生死を彷徨うものとなった。それは高校生の時。親が外に出させてくれなかったので、家の3階の窓から隣のビルに移ろうと窓から飛び出したら、足が届かなかったのだ。そのまま頭からコンクリートへ転落し、意識不明のまま緊急治療室へ運ばれた。意識が戻った時、あの母鬼が私の前に無表情で立っていた。「なにがあったの。本当に一騒がせな子供だ。」こんな時にも説教だ。辛く痛い中での言葉だったので非常に腹立たしく「出てって」と言い、眠りについた。
退院し少し落ち着いた後、妹とあの事故について話す機会があった。
「お姉ちゃんほんとアホだったよね」
「別に大事になっても誰も気になんかしてないよ」
「アハハ。お姉ちゃんゴキブリより強いから死なないとは思ったよ〜」
ああ、やっぱりか。死ぬ間際になっても家族にも笑われるのかと思った時だった。
「でもママ大泣きしてたよ。」
一瞬耳を疑った。その後しつこく質問したのを覚えている。どんな様子だった?いつどこで泣いてたの?その時はまるで幼い子供のようだった。そのような話は私にとって新鮮なものだった。こんないい歳になっても自分が親から大事にされていることを確認したがっていたのだ。私にとっては母親の涙とは非常に珍しいもので、この妹の何気ない一言はずっと心に染み付いて残っている。
あれから7年経った今。母鬼は今日も怒りつつも、そして私も文句をいいながらも言うことを聞いている。大好きな家族との時間を楽しみながら。