答えはイエスでもあり、ノーでもあります。単純には断定できません。もともと昼寝は、幼児期には毎日の習慣であったのが、学齢期になると許されなくなったものです。
①これは、学校や一般社会が決まった時間表を持っていて、昼寝をやめさせてしまうからです。多くの文明国では、自宅での昼寝はともかく、学校や職場での昼寝や居眠りは悪徳だとする考えが支配的のようにみえます。公共の場での仮眠は、わずかに乗り物とか公園とか映画館のようなところでしか容認されていないようです。
人間の眠気を時刻を追って記録すると、夜間の睡眠に向けて増大するばかりでなく、正午を過ぎたころにも小さなピークが出現します。②このピークを、単なる気のゆるみと見るか、休息の必要性の現れとして社会が容認するかどうかで、成人の睡眠パターンに昼寝が組み込まれるかどうか決まってきます。人間の眠りは、生理的な欲求よりも文化的拘束面のほうが優先するのです。
しかし一方では、多くの文明国で、昼過ぎの眠気に逆らって仕事をすることによって、能率の低下にとどまらず、判断の誤りや交通事故などがこのじかん帯に多発しています。
もちろん、主睡眠期の夜間に無理して働いている場合には、さらに深刻な問題が発生していることはよく知られているとおりです。これらの現象は、われわれが自然の原理を軽視した「③つけ」ということになるのでしょう。
そんなわけで、無理して起き続けるより、少しだけ昼寝して脳を休息させるのは理にかなったことです。ただし、昼寝によって生物時計の針が狂わないように、また、夜間の主睡眠の内容に大きな変化を与えないように、むやみに長く寝ないように気をつける必要があります。
「問い」下線①「これ」とあるが、何を指しているか。
1 居眠りが体によいこと
2 居眠りがよいかどうか断定できないこと
3 昼寝が毎日の習慣であること
4 昼寝がある年齢を境にできなくなること
「問い」下線②「このピークを、単なる気のゆるみと見る」場合、どうなるのか。
1 昼寝の必要性が高まる
2 成人の昼寝は認められない
3 仕事が軽視される
4 夜間の睡眠が少なくなる
「問い」下線③「つけ」にあてはまらないものは、どれか。
1 仕事の能率が低下すること
2 判断を誤ること
3 夜間に無理をして働いていること
4 深刻な問題が発生していること
「問い」筆者がこの文書で最も言いたいのはどのようなことか。
1 昼寝や居眠りが体によいことだとは、単純に断定できない
2 学校や職場での昼寝や居眠りは文明的ではない
3 昼寝や居眠りを容認するかしないかは、各文化ごとに決定すればよい
4 昼寝や居眠りを睡眠パターンに組み入れるのは、自然なことだ