①花見そのものが日本の誇る庶民文化であるが、花見はまた多くの日本文化を剌激し、創り出してきた。文芸、芸能、美術そして衣装や料理などまで花見の恩恵をこうむっている。たとえば俳諧である。
木の下に汁も膾(注1)も桜かな。
「奥の細道」の旅から戻った芭蕉(注2)が翌元禄(注3)三年(一六九〇)、伊賀上野の門弟•小川風麦邸での花見の宴席で詠んだ句である。満開の桜の下、出された汁碗にも膾の器にも花びらが散りかかり、桜一色。酒も肴もたっぷり用意され、満ち足りた感じの芭蕉たちの宴席は桜の花に包まれている。視覚の美に味覚•触覚まで詠み込んだ②見事な句だ。花見が好まれるのはただたんに花の観賞ではなく飲食の楽しみ、みんなと場を共にする楽しみが備わっているからである。この句は、なぜ日本人が花見を好むのか、への答えにもなっている。
桜は好きだが、花見は騷がしくていやと言う人がいる。私は静かに桜を眺めるのも、にぎやかな花見もどちらも好きだ。だが、桜なら北半球の温帯地域各地に咲いているが花見は日本にしかない。千年以上にわたって行われてきた花見はぜひ世界に伝えたい日本文化である。③私は例年、海外からの留学生や研究者を誘ってお花見に出かける。花見の宴から秀逸な作品を生み出した芭蕉のような芸術家や日本研究者が外国人の中から現れるのを楽しみにしている。
(白幡洋三郎r花見から生まれた美しき日本J〔「京都新聞」2006年4月2日付〕による}
(注1)膾=酢の物の一種
(注2)芭蕉=江戸時代の俳人(俳句を作る人)
(注3)元禄=日本の元号の一つ
1 ①花見そのものが日本の誇み庶民文化であるが、花見はまた多くの日本文化を刺激し、創り出してきたとはどういうことか。
1 花見は日本文化そのものである。
2 花見が日本の庶民文化を生み出す原動力となった。
3 花見の文化は、他の日本文化にも影響を与え続けてきた。
4 日本文化の中で最も刺激的な庶民文化が花見の文化である。
2 ②見事な句だとあるが、著者がそのように考える理由は何か。
1 みんなと場を共有する楽しみにあふれた句だから
2 桜の美しさをうまく表現している句だから
3 それによって複数の感覚を伝えようとしている句だから
4 様々な解釈を許す句だから
3 ③私は例年、海外からの留学生や研究者を誘ってお花見に出かけるとあるが、著者がそうする最も大きな理由と考えられるものは次のうちどれか。
1 北半球で「花見」ができるのは日本だけだから。
2 「花見」という千年以上ものあいだ行われてきた日本文化を経験するべきだと思うから。
3 彼らが帰国したときに、「花見」の文化をそれぞれの国で伝えて欲しいから。
4 「花見」を経験することによって、日本文化を深く知り、その後に活かして欲しいから。
本期答案与解析:
1、
【试题解析】
正解 3
解析: 原文第1段说到:“花見”本身不仅是日本文化,而且也刺激了很多其它日本文化的创作,如文艺、艺能、美术以及服装、料理等都受到了“花見”(赏樱花)的恩惠。因此选3,“花見”给其它日本文化带来了持久的影响。
2、
【试题解析】
正解 3
解析:原文“視覚の美に味覚・触覚まで読み込んだ見事な句だ”,解释了“見事な句”的含义,即:诗中吟诵了视觉的美、味觉的美、以及触觉的美。也就是说这句诗传达了多种的感官感觉。
3、
【试题解析】
正解 4
解析:原文最后一句回答了这个问题。句子意思是:期待能有外国人,也能像芭蕉一样,从“花見”中创作出优秀的作品。选项4:希望通过“花見”,(让外国人)深入了解日本文化,并能加以活用。