今回は、お買い物の時の関西弁が学習しましょう。
まず、基本中の基本。
例題1)関西弁
「これなんぼ?」
例題1)標準語訳
「これはおいくら?」
Lesson4でも「なんぼ」というのが出てきましたね。
この場合、「なんぼ」=「いくら」です。
この表現の前には、必ずと言っていいほど、以下の言葉が付きます。
「おっちゃん」、「おねえさん」、「にいちゃん」、「おねえちゃん」、「おかあさん」などです。
「おっちゃん」
これは、30代後半以降の男性が応対している時に使用します。
「おねえさん」
これは、40代~50代くらいの女性が応対している時に使用します。「おばちゃん」と言ってはいけません。
「おばちゃん」と言ってしまった時は、「値引き」は絶対にないと思って下さい。
「にいちゃん」
30代前半までの男性が応対している時に使用します。
「おねえちゃん」
若い女性に使用します。
「おかあさん」
これは60代以降の女性が応対している時に使用します。稀に40代の女性でも、少しふっくらとした女性の場合も適用されます。
なお、「おかあさん」と呼んだ場合、「あんたみたいな子生んだ憶えはないで」と返す人もいます。
逆に、店員の方がこちらを呼ぶ時も色々とあります。
「大将」
これは、「おっちゃん」に相当します。しかし、年齢層は40代~が多い様です。
「にいさん」
30~40代がこれになりますが、明かにこちらの方が年下とわかる場合、50代でもこう呼ばれます。
「にいちゃん」
20代までは大体こう呼ばれます。
女性に関しては、あまり違いはありません。稀に「べっぴんさん」と呼ばれる事がありますが、これは非常に可愛い女性だけです。
さて、価格交渉の仕組みについては、Lesson2でご紹介しておりますので割愛させて頂きます。
それでは、例題2を見て下さい。
例題2)関西弁
にっしゃん:「にいちゃん。この服なんぼや?」
店員の江口君:「はい、毎度。え~、これは49,800円になります」
にっしゃん:「なんぼか勉強してくれるんか?」
店員の江口君:「そーですね。こちらでしたら…。47,500円まででしたら、何とかなりますけど」
にっしゃん:「ちゅーと半端な勉強の仕方やな。細(こま)いのまけといて、40,000円くらいにならんか?」
店員の江口君:「勘弁しといて下さいよ。もう、かなわんなぁ。そしたら、47,000円でどうですか?」
にっしゃん:「しゃーないなぁ。なんかオマケしてくれへんのかいな?ネクタイとかシャツとか?」
店員の江口君:「あっ、それやったら、ネクタイをおつけしますよ」
にっしゃん:「何本つけてくれんねん?」
店員の江口君:「1本です」
にっしゃん:「にいちゃん、体に似合わずセコいな。もっと景気よぅいかれんか?」
店員の江口君:「わかりました。2本おつけさせて頂きます。」
にっしゃん:「ほんまか?ほんだら、そのネクタイつけたつもりで、もっとマケてくれや」
それではポイントとなる言葉をご説明致しましょう。
「毎度」
はじめてでも関西では「毎度」といいます。そんな細かい事は気にしないでおきましょう。(いちいち、気にしなや)
「体に似合わずセコいな」
「体は大きいのに、言う事は小さいのですね」の意。得てして店員の体が大きい時に使用します。
関西人は不遠慮なので、店員が小さい時は「体小さいねんから、マケる時くらい大きいマケときぃな」といいます。
店員もこんな事で怒っていては、仕事になりません。
つい最近、女性の店員に、「ねえちゃんの乳(ちち)みたいに、どーんどーんとマケてぇな」と言っていた中年男性を見かけました。
東京では「セクハラ」と言われそうですが、その女性店員は「これ上げ底なんです」と切り返していました。
「景気よぅいかれんか?」
「景気よく値引きできませんか?」の意。
「いかれんか?」という人もいれば、「でけんか?」という人もいます。他にも「いけんか?」、「いけへんか?」など亜種は様々です。
類似語として「けーきよぅ、バーンといっときいな」というものあります。
「ほんだら」
「それならば」、「では」、「じゃあ」の意。「ほんなら」、「ほなら」、「ほな」と言う場合もあります。
別れ際の挨拶として、有名な「ほな、さいなら」という関西弁がありますが、今ではあまり使われていません。
よく耳にするのは「ほなな」(標準語「じゃあね」)です。
ちなみに関西人は値段交渉が終って、いざお金を渡す時に「ほんまに、マカらんか?」と聞きます。
これは、本気で値引き要請しているわけではなく、冗談で言っています。
これを見た東京の方が、「関西って凄い所だよね」と感心していました。
余談ですが、駄菓子屋などで買物をすると、おっちゃんは100円の商品を「100まぁん円」と言ったり、おつりを「300まぁん円」と言います。
気にしないでおきましょう。