(1) 客の希望を尋ねる
店員 :いらっしゃいませ。
客 :娘の高校進学のお祝いにパソコンを買ってやりたいと思っているんですが、適当なものはありませんか。
店員 :娘さんは今度高校一年生になられるんですか。おめでとうございます。あのう、それで、ご予算はいかほどでございましょうか。
客 :できれば、20万円程度で抑えたいんですが、・・・。
店員 :何かご希望の機種がございますか。
客 :子供部屋が狭いので、大きいパソコンを置くスペースがないんです。
店員 :でしたら、ノートブック型のパソコンがよろしいでしょうね。持ち運びにも便利ですから。
客 :じゃ、そのパソコンを見せてください。
店員 :はい、では、こちらにどうぞ。
(2) 商品の紹介
店員 :ご予算から申しますと、この二種類の機種がお勧めですが、いかがでしょうか。
客 :値段はあまり変わらないようですが、二つはどう違うんですか。
店員 :一番の違いは処理速度です。こちらの方がマシンの性能としては上になります。
客 :じゃ、どうして値段がほぼ同じなんですか。
店員 :はい、こちらは性能はやや劣りますが、ワープロ、インターネット、メールといった普段よく使うソフトがセットでついていて、買って帰ったその日からすぐ使えます。
客 :なるほど。
(3) アドバイス
店員 :失礼ですが、娘さんは今までパソコンをお使いになったことがおありですか。
客 :いいえ、初めてです。
店員 :でしたら、私はソフトがセットの方がよろしいかと思いますが。それに、別にソフトを買うとなると、結局、お高くついてしまいますから。
客 :確かにそうですね。でも、性能の差が気になりますねえ。
店員 :あのう、最近のパソコンは性能が高くなっていますから、実際使ってみて、それほど差を感じることはございません。ちょっと、ご覧になってください。
・・・(二つのソフトで、実際にメールソフトを動かしてみる)・・・
このように、ほとんど差はございません。
客 :確かに。
店員 :店員の私が申し上げるのもなんですが、最近は毎年新機種が出て、性能がよくなるばかりか、お値段も安くなる傾向にあります。ですから、入門機として、あまり高い機種をお買いになるのはお勧めできません。
客 :いやぁ、これはご親切にどうも。じゃ、こちらのソフトつきの機種にします。
店員 :どうもありがとうございました。これ、私の名刺ですが、使っている上で何か問題がございましたら、こちらにお電話ください。
これはかなり忠実にあるパソコンショップでのやりとりを再現したものです。最近のお客は目が肥えていますし、情報も持っていますから、やみくもに売り込もうとするよりも、<アドバイス>の会話のように、お客の立場に立ってアドバイスする方が好感を持たれますし、また売り上げも伸びるでしょう。また、単に店としてのアフターサービスではなく、個人としてもアフターサービスをする店員が増えています。そうすれば、店員個人とお客との信頼関係が生まれ、客が客を紹介してと売り上げ増につながっていきます。これは、あらゆるビジネスの世界に共通して言えることではないでしょうか。この会話例、参考になりましたか。