(1)納品日・支払い日の延期を求める
<納品日の延期を求める>
李 :あのう、誠にご無理なお願いで恐縮なのですが、・・・。
取引先:何でしょうか。
李 :実は××××(商品名)の納期の件ですが、この度の△△の地震の影響で、工場からの出荷が軒並み遅れておりまして、それで、どうしてもお約束の日に納品するのが無理になりまして、・・・。
取引先:困りましたねえ。しかし、△△の地震の被害については私どもも承知しておりますし、いたしかたないこと思います。わかりました。その旨、上司の方に伝えておきます。
李 :ご迷惑をおかけいたしまして、どうも申し訳ございません。今後ともどうかよろしくお取り引き願います。
<支払い日の延長を求める>
李 :今日は折り入ってお願いしたいことがありまして、伺いました。
取引先:何でしょうか。
李 :実は貴社へのお支払いの件なのですが、今しばらくご猶予いただけないかと思いまして・・・。
取引先:うーん、困りましたねえ。入金の期限は守っていただかないと・・・。
李 :ご無理は承知の上で、そこを何とかお願いできないものでしょうか。
取引先:そう言われても私の一存では・・・。
李 :この通りです。・・・(頭を下げる)・・・
取引先:そちら様とは長いおつきあいでございますから、上司とも相談してみますが、それで、いつまでにお支払いいただけるのでしょうか。
李 :今月中には必ず入金いたしますので。
取引先:わかりました。上司とも相談の上、折り返しお電話差し上げます。
李 :なにとぞよろしくお願いいたします。
常套表現と解説
・ 誠にご無理なお願いで恐縮なのですが、・・・
折り入ってお願いしたいことがありまして、・・・
・ お支払いの件ですが、今しばらくご猶予いただけないかと思いまして・・・
××××(商品名)の納期の件ですが、○○日まで延ばしていただけないかと思いまして、・・・
・ ご迷惑をおかけいたしまして、どうも申し訳ございません。
今後ともどうかよろしくお取り引き願います。
なにとぞよろしくお願いいたします
ビジネスの世界で・のような前置きが使われたとしたら、十中八九、何らかの事情で納品や支払いなど、契約関係のことで問題が生じたことを表しています。
さて、納品や支払いの遅れを詫び、延期を求める側はあくまで低姿勢で話を進めなければなりません。依頼には「~てくださいませんか/~ていただけませんか」などの丁寧な依頼言葉もありますが、それでもまだ、要請・要求の響きが残りますから、このような場合は不適切です。そこで使われるのが、「~ていただけないかと思いまして」という言い回しで、ビジネスマンとしてぜひ使いこなせるようになって欲しい依頼表現です。
逆に、延期を求められる側は、すぐに「契約不履行」などと言って事を荒立てず、応えにくいことはその場では保留し、あるいは「そちら様とは長いおつきあいでございますから」のようにできるだけ協力したいと言うことを話すのがビジネスマンの知恵です。仮に断らなければならないときも、「誠に申し上げにくいことなのですが、上司は入金がこれ以上遅れるような会社には、もう納品しないと申しておりまして」のように上司からの伝言の形で伝えるのが一番よく、その方が印象が和らぐ効果がありますます。何より、あなたが会社の一担当社員の場合、冷たい断り方をして相手の恨みを買うのは得策ではありません。つまり、ビジネスでは最後まで断定的な言い方は避けた方がいいのです。