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ライゲイトの大地主(4)_シャーロック・ホームズの回想(回忆录)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:「ドアを開けて押さえてくれたまえ、巡査」ホームズが言った。「皆さん、あそこに階段が見えるでしょう? 息子のカニンガム青年
(单词翻译:双击或拖选)

「ドアを開けて押さえてくれたまえ、巡査」ホームズが言った。「皆さん、あそこに階段

が見えるでしょう? 息子のカニンガム青年が格闘中の二人の男を目撃した際に立ってい

た場所です。父親のカニンガム老人はあの左から二番目の窓にいて、犯人が向こうの生垣

の左側へ逃げていくのを見ました。息子も見たそうです。二人とも生垣が目印になったか

らまちがいないと言っています。そのあと息子のアレックは外へ飛びだしていき、倒れて

いる男のそばにひざまずきました。地面はこのとおりかちこちなので、なんの跡も残って

いませんがね」

 ホームズが話している最中に二人の男が邸宅の角から現われ、庭の小道をこちらへやっ

て来た。一人は腫はれぼったいまぶたの、いかめしい顔つきの老人だ。もう一人は派手な

服を着た、明るい表情の快活そうな青年だが、私たちがここへ来た用向きを考えると、青

年の服装や態度は場ちがいな感じがした。

「まだ終わらないんですか?」若いほうがホームズに向かって言った。「ロンドンの人間

なら、もっと手際がいいのかと思ってましたよ。けっこう手こずってるんですね」

「あいにく、もう少し時間がかかりそうですよ」ホームズは朗らかに答えた。

「そうでしょうね」アレック・カニンガム青年は言った。「手がかりはまだなにもないみ

たいですから」

「ひとつだけありますよ」警部が口をはさんだ。「それを見つけさえすれば、必ず──お

やっ! ホームズさん、どうなさいました?」

 見ると、ホームズの顔は恐ろしい形相に変わっていた。白目をむき、苦く悶もんに顔を

ゆがめ、押し殺したうめき声をあげながら、うつぶせに地面にばったり倒れた。一同は突

然の激しい発作にぎょっとして、ホームズを急いで台所へ運びこんだ。彼は大きな椅子に

仰向けにもたれ、苦しげにあえいだ。しばらくして、ようやくおさまったのか、見苦しい

ところをお見せして申し訳ないと詫わび、面目なさそうに立ちあがった。

「こちらのワトスン博士がよくご存じですが、僕は病みあがりでしてね」と説明を始め

た。「神経をひどくやられたので、まだこういう発作を起こしてしまうことがあるんです

よ」

「うちの軽二輪馬車でお送りしましょうか?」カニンガム老人が言った。

「いえいえ、せっかく来たんですから、もう少しここにいます。どうしても確かめたいこ

とがありましてね。簡単に裏付けられるはずですが」

「なんですか、それは?」

「事件の晩、被害者の哀れなウィリアムがここへ来たのは、強盗が家に入ろうとしたとき

ではなく、出ていくときだったのではないかと思うのです。しかしあなた方は、ドアがこ

じ開けられていたにもかかわらず、賊はまだ侵入していなかったとお考えなんですね」

「そう考えるのが当然じゃろう」カニンガム老人は険しい口調で言った。「せがれのア

レックはまだ起きていた。邸内を何者かが歩きまわっていれば、物音に気づいたはず

じゃ」

「息子さんはどこにいたんですか?」

「寝室に続く化粧室で煙草をのんでましたよ」アレック本人が答えた。

「その部屋の窓はどれですか?」

「左の一番端です。父の寝室の隣ですよ」

「どちらも部屋のランプはついていたんでしょう?」

「ええ、もちろん」

「この事件には腑ふに落ちない点がいくつかありましてね」ホームズは笑みを浮かべた。

「強盗が──それもある程度経験を積んだ強盗がですよ、窓に明かりが見えていて、住人が

まだ起きているのは一目瞭りよう然ぜんだというのに、あえて押し入るでしょうか?」

「大胆不敵なやつなんじゃろう」

「まあ、一筋縄ではいかない事件だからこそ、あなたに捜査をお願いしているわけですし

ね」アレック青年が言った、「でも、ウィリアムが犯人に飛びかかったときには、強盗は

すでに仕事を終えていた、というあなたの説はあまりに荒唐無稽だ。家の中はどこも荒ら

されていなかったし、なにもなくなっていないんですから」

「それはわかりませんよ」ホームズが言った。「思い出してください。われわれが追いか

けている盗賊は相当な変わり者で、独特の論理を持っていますからね。いい例が、アクト

ン家での事件です。盗んでいったのは、糸玉だの文鎮だの、ええと、あとはなんでしたっ

け? とにかくがらくたばかりだったじゃありませんか!」

「まあ、とにかく、あなたに全面的にお任せしますよ、ホームズさん」カニンガム老人が

言った。「あなたや警部のやりたいようにやってください。協力は惜しまないつもりです

から」

「そうですか。では、さっそくですが」とホームズは切りだした。「懸賞金を出したいと

思います──あなたご自身から。警察を通すと金額を決めるのに手間取りますし、こういう

ことは迅速にやらなければなんの意味もありません。ここに用意した原稿がありますの

で、サインしていただけませんか? 金額は五十ポンドで充分でしょう」

「なんだったら五百ポンド出してもかまわん」そう言って、治安判事のカニンガム老人は

ホームズから用紙と鉛筆を受け取った。「おや、内容に誤りがありますぞ」老人は書面に

目を通したあとに言った。

「急いで書いたものですから」

「ほれ、ここだ。〝かような次第により、火曜日の午前一時十五分前頃、強盗は邸内に侵

入し〟うんぬんとあるが、正確には十二時十五分前じゃ」

 横で聞いていて、私は胸が痛んだ。うっかりミスをなによりも嫌うホームズが、そんな

書きまちがいをするとは。普段は事実に対して人一倍慎重なのに、病気のせいで調子がお

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