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第4章 決死の脱出(5)

时间: 2023-10-31    进入日语论坛
核心提示:「さあ、すぐに出発だ」ジェファースン・ホープの低い声には、危険の大きさを覚悟のうえで戦おうとする決意がみなぎっていた。「
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「さあ、すぐに出発だ」ジェファースン・ホープの低い声には、危険の大きさを覚悟のうえで戦おうとする決意がみなぎっていた。「玄関も裏口も見張られているが、横の窓からこっそり出て畑を突っ切ればいい。街道までたどり着けば、馬を待たせてある谷までたったの二マイルです。夜が明ける頃には山を半分越えているでしょう」

「もし途中で見つかったら?」フェリアが尋ねる。

 ホープは上着の前からのぞいている拳けん銃じゆうの台だい尻じりを軽くたたいた。「大勢で襲いかかってきたら、二、三人は道連れにしてやりますよ」不敵な笑みを浮かべて言う。

 家のなかの明かりはすべて消えている。フェリアは暗い窓の向こうに目を凝らした。そこに広がっているのは、今日かぎり別れを告げる自分の農場だった。だがとうに腹はくくっている。娘の名誉と幸福のためなら、財産を捨てることなど少しも惜しくはない。風に吹かれてかさこそと葉音を鳴らす木々、ずっと先まで伸びるひっそりとした穀物畑。なんという平穏でのどかな風景だろう。ここに凶悪な殺意が潜んでいようとはまるで想像できない。しかし、若い猟師の青ざめて緊張にこわばった顔を見れば、この家へたどり着くまでに危ない目に多々遭遇したことは容易にうかがえた。

 金貨と紙幣を詰めた袋はフェリアが、わずかばかりの食料と水はジェファースン・ホープが持った。ルーシーは自分の貴重品を少しだけ入れた小さな包みを抱えた。音をたてないよう慎重に窓を開け、黒っぽい雲で星明かりがいくぶんかげるのを待って、一人ずつ小さな庭に降り立った。それから息を殺し、しゃがんだ姿勢でそろそろと庭を横切った。垣根の陰に入ると、今度はその陰づたいに、麦畑へ出られる垣根の切れ目を目指して進んでいった。だがあともう少しというとき、ジェファースン・ホープが突然二人を物陰に引っ張りこんだ。三人はそこでじっと身を伏せたまま、震えながら様子をうかがった。

 大草原で鍛えたホープの山猫のごとく研ぎ澄まされた耳が幸いした。三人が隠れたのとほぼ同時に、わずか数ヤード先からヤマフクロウの物悲しい鳴き声があがったのだ。すると、すぐにそれに応こたえる別の鳴き声が少し離れたところで聞こえた。その直後、三人が行こうとしていた垣根の切れ目から、ぼんやりとした黒い人影が現われ、再び陰気な鳴き声で合図を送った。もう一人の男も暗がりから姿を現わした。

「明日の真夜中、夜よ鷹たかが三度鳴くときだ」最初の男が言った。口ぶりからすると、こちらのほうが身分が上らしい。

「了解」二番目の男が答えた。「兄弟ドレッバーに伝えますか?」

「ああ、そうしてくれ。ほかの者たちにもな。九から七!」

「七から五!」もう一人がただちにそう返したあと、ふたつの人影は別々の方角へさっと分かれ、暗闇に溶けた。最後に言った数字はおそらく合言葉なのだろう。彼らの足音が遠ざかるやいなや、ジェファースン・ホープはすばやく立ちあがって、父娘おやこに手を貸しながら垣根の切れ目を急いで通り抜けた。それから麦畑を全速力で突き進み、ルーシーが遅れそうになると抱きかかえるようにして走り続けた。

「早く! 急いで!」息を切らしながら、何度も声をかけた。「いま非常線を突破しようとしている。ここで急がないと、なにもかもが水の泡だ。さあ、早く!」

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