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第5章 復ふく讐しゆうの天使たち(1)

时间: 2023-10-31    进入日语论坛
核心提示:第5章 復ふく讐しゆうの天使たち 三人は夜を徹して岩のごろごろした道を行き、迷路のような険しい峡谷を抜けていった。途中、
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第5章 復ふく讐しゆうの天使たち

 三人は夜を徹して岩のごろごろした道を行き、迷路のような険しい峡谷を抜けていった。途中、道に迷うことも何度かあったが、そのたびに山を熟知したホープのおかげで事なきを得た。夜が明けると、神々しいまでに荘厳で、そして荒涼とした風景が眼前に開けた。頂上に雪をかぶった峨が々がたる連峰が四方をぐるりと取り囲み、互いの肩越しにはるか遠い地平線をのぞきこんでいる。道の両側には岩肌をむきだしにした絶壁が立ちふさがり、そこにぶら下がるような恰かつ好こうで生えている松の木は道に大きく張りだして、ひとたび突風でも吹けば、頭上へ真っ逆さまに落ちてきそうだ。ただの取り越し苦労で終わればいいが、あたりには実際に落下したとおぼしき木や岩が無数に散乱しているので、一瞬たりとも気は抜けない。ついには三人のすぐ後ろで巨石が上から転がり落ち、その雷鳴のような轟ごう音おんが谷間の静寂を突き破った。馬たちはびっくりして、疲れきっているにもかかわらず全速力で駆けだした。

 東の地平線から太陽がゆっくりと昇るにつれ、祭りの灯がともされるように、そそり立つ峰がひとつ、またひとつと光に照らされていき、ついにはすべての山さん嶺れいが真っ赤な輝きを放った。この堂々たる壮麗な景色に励まされ、三人の逃亡者は新たな闘志を燃やすのだった。小谷から流れ落ちる渓流に行きあたったところで小休止し、馬に水を飲ませ、自分たちもあわただしく朝食をとった。ルーシーと父親はもう少し休憩したかったが、ホープは先を急ぎたがった。「そろそろ、やつらが追跡を開始する頃だろう。いま急がなければ、すべてがふいになってしまう。カースン・シティに着きさえすれば、あとは安全なんだ。のんびりするのはそれからでも遅くはない」

 丸一日、谷間の難路を苦労しながら進み続け、夕方にはこれで敵を三十マイルは引き離したのではないかと思うほど確かな手応えを得た。夜は冷たい風を少しでも避けられそうな岩陰にもぐりこみ、互いに身を寄せ合って暖を取りながら、数時間の短い眠りについた。そのあとは夜明け前から起きだして、再び山道を急いだ。いまだに追っ手の気配はみじんも感じられないので、さすがにジェファースン・ホープも、どうやらあの恐ろしい敵からはうまく逃げおおせたらしいぞ、と思い始めた。その組織がどんなに遠いところへもあっという間に魔手を伸ばし、獲物を情け容赦なくひねりつぶしてしまうことを、ホープはまだ知らなかったのである。

 逃亡生活が始まってから二日目の昼頃、乏しかった食料はとうとう底をつく寸前となった。だがホープに焦りはなかった。山には食料になる鳥獣がいるからだ。猟師である彼は、これまでにもたびたびライフル銃を頼りに飢えを切り抜けてきた。すでに海抜五千フィート近い地点まで来ているため、空気は肌を刺すように冷たい。まずは風雨をしのげる岩陰を選び、フェリア父娘おやこが暖まれるよう枯れ枝を集めて焚たき火びを燃やした。そのあと馬とラバをしっかりとつないで、ルーシーに行ってくるよと言い、銃を肩に担いで猟に出発した。少しして振り返ると、老人と娘は勢いよく燃える焚き火の前でしゃがみ、その向こうで馬とラバがおとなしくじっとしていた。やがてその光景は岩にさえぎられて見えなくなった。

 ホープは谷から谷へ、二マイルばかり歩いて獲物を探しまわった。あちこちの木で樹皮に痕こん跡せきが残っているので、近くに熊が何頭もいるのはまちがいないのだが、姿はいっこうに見えない。収穫が得られないまま二、三時間を無駄に費やしたあと、あきらめてそろそろ引き揚げようかと思ったときだった。ふと上を仰いだところ、頭上三、四百フィートの突きだした岩に、興奮のあまり身震いするほど嬉うれしいものを見つけた。大きな二本の角を持つ動物が、一頭だけぽつんと立っている。その立派な角からビッグホーンと呼ばれている羊だ。こちらからは見えないが群れがそばにいて、仲間のために見張りについているのだろう。幸い、首は反対方向へ向いているので、ここに人間がいることには気づいていないようだ。ホープは腹はら這ばいになると、銃を岩の上で固定し、充分に狙いを定めてから引き金をしぼった。羊は宙に跳ねあがり、断だん崖がいの先で一瞬よろけてから下の谷へどさりと落ちてきた。

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