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第6章 ジョン・H・ワトスン博士の回想録(続き)(2)

时间: 2023-10-31    进入日语论坛
核心提示:「これは大変だ!」私は思わず叫んだ。「大だい動どう脈みやく瘤りゆうじゃないか!」「そういう病名らしいですね」ホープは穏や
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「これは大変だ!」私は思わず叫んだ。「大だい動どう脈みやく瘤りゆうじゃないか!」

「そういう病名らしいですね」ホープは穏やかに言った。「先週、医者に診てもらったら、あと数日で破裂するだろうと言われましたよ。何年も前から患ってるんですが、悪くなる一方でしてね。ソルトレイクの山中で、雨風に打たれながら飲まず食わずの生活を送ったつけが回ってきたんでしょう。やるべき仕事は終えたんで、いつあの世へ行こうがかまいませんが、その前にこういうことになったいきさつをどうしても話しておきたいんです。そのへんの血に飢えた殺人鬼と一緒にされちゃ、浮かばれませんからね」

 取調官と二人の警部は、容疑者に身の上話をさせてやるべきかどうかその場で話し合った。

「ワトスン先生、容態が急変する可能性はありますか?」取調官が私に意見を求めた。

「大いにあります」私は答えた。

「ならば、公正さを期すため、ただちにこの男の供述をとることがわれわれの責務でしょうな」取調官はそう言ってから、ホープに向き直った。「よし、なんでも自由に話していいぞ。ただし、もう一度繰り返すが、おまえの発言は残らず記録されるからな」

「失礼して、座らせてもらいますよ」ホープはそうことわってから腰を下ろした。「動脈瘤のせいで疲れやすくなってましてね。そのうえ、つい半時間前にあんな取っ組み合いを演じたんで、もう身体はぼろぼろです。じきにこの世とはおさらばですから、ここで噓をついたってしょうがない。いまからお話しすることは正真正銘の事実です。それを皆さんがどう扱うかなんて、おれにはどうでもいいことですよ」

 そう前置きしたあと、ジェファースン・ホープは椅子に深々ともたれ、供述を始めた。その内容は想像を絶するものだったが、ごく普通のなんでもない事柄を語るかのように落ち着いた口調で順序立てて話を進めた。以下に記すのは、ホープの物語をそっくりそのまま再現したものである。彼の一言一句を書き留めたレストレイドの記録と照らし合わせてあるので、正確さについては自信を持って請け合う。

「おれがあの二人の男を憎んだ理由は、くどくど説明しても始まらんでしょう。早い話が、やつらは二人の人間を──ある父娘おやこを──死に追いやり、その罪を最後は自らの命であがなったってことです。やつらの犯罪はすでに長い年月が経ってますから、どこの法廷へ引っ張りだしても有罪に持ちこむのは無理でしょう。だがあいつらが罪人だってことはおれが誰よりも知ってる。だから、裁判官と陪審員と死刑執行人の三役を一人で引き受けようと決心したんです。皆さんもきっと同じことを考えたはずですよ。男としての自尊心があって、おれと同じ立場に置かれれば。

 さっき話した娘というのは、二十年前におれと結婚を誓い合った仲でした。ところがあのドレッバーと無理やり結婚させられ、絶望にうちひしがれたまま息を引き取ったんです。おれは彼女の亡骸なきがらから結婚指輪を抜き取り、心のなかで誓いました。これを死に際のドレッバーに突きつけて、悪行の報いを受けるんだってことをはっきり思い知らせてやろうと。それからは指輪を肌身離さず持ち歩いて、ドレッバーとその相棒を追いかけました。そして二つの大陸を駆けめぐった末、ようやくつかまえたんです。やつらはおれがそのうちあきらめるだろうと高をくくってたんでしょうが、そうは問屋がおろしませんよ。おれはたとえ明日死んだとしても──そうなる見込みは充分ありますがね──この世の務めは果たした、堂々とやり遂げたんだと満足して旅立てます。やつらは滅びました。おれがこの手で葬り去ったんです。これぞまさに本望ですよ。もう思い残すことはありません。

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