返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 灰谷健次郎 » 正文

アメリカ嫌い42

时间: 2018-10-27    进入日语论坛
核心提示:   島の春 東京での仕事を終え、渡嘉敷島へ戻った。 東京は気温三・三度というのに、こちらは十九度もある。日が差すとさら
(单词翻译:双击或拖选)
    島の春
 
 
 東京での仕事を終え、渡嘉敷島へ戻った。
 東京は気温三・三度というのに、こちらは十九度もある。日が差すとさらに気温は上がって、暑いくらいだ。
 渡嘉敷港に降り立つと、自然に顔がほころんでくる。
 わたしは確かに南島から活力をもらっているなと思う。
 自転車をひいて、マコトさんが迎えてくれた。がんの為、顔の半分をとってしまう大手術を受けたのだが、今はもう、マグロ漁に出るまでに回復している。
 隻眼の漁師である。
「くれぐれ無理はせんといてよ」
 とわたしはいった。
 性格のおだやかな、そして気のいいマコトさんのどこに、その不屈の精神がひそんでいたのだろう。
 海に戻ったマコトさんは晴々とした顔をしていた。
 クノ君夫妻の畑はどうなっているのかしら。
 わたしは足を運んだ。
 裕一さん、千晴さんの姿が畑にある。
「ずいぶん畑、きれいになったね」
「うん。まあまあだよ」
 この前、島を出るとき畑は冠水して、無残な姿をさらしていたのである。
 今は、カボチャ、インゲン、ホウレンソウ、ネギ、ニンジン、トウモロコシ等々、たくさんの野菜が元気よく日を浴びていた。
「水はけが悪いのと、風の強さで、どうしてもいくらか被害は出るんだね」
 クノ君は、キュウリの葉の黄色い部分を指さしていった。
「有機農法もたいへんなんだ」
 とわたしはいった。
 もう刈り取るばかりの小麦が、しっかりした実をつけていた。
 クノ君夫妻の農業も、はや二年にもなろうとしている。
 二十代の若者が東京からやってきて島に住み、押し寄せる苦労にくじけることなく、こうして野良で働いている姿を見ると、感動するのである。
 こういう若者もいるということが、このくにの希望のように感じられるのだ。
 さて、半年の約束ではじめたこの連載エッセイも、ようやく最終回を迎えた。
 半年が、もう半年、そして、もう半年と続けることができたのは、すべて読者の方々の後押しのおかげである。
 たくさんのお手紙をいただいた。もちろん、お叱りもあったけれど、大部分は励ましの文面でたいへん、うれしかった。
 甥《おい》の交通事故という私事を書いたのに、お見舞いのお便りまでいただいた。さいわい、甥は命をとりとめ、今、順調に回復の途にある。ありがとうございました。
 この連載をはじめたとき、神戸の少年事件がおこり、版権引き揚げ問題で、わたしはつらい時間をおくっていた。
 この欄から、みなさんに話しかけられることが、わたしにとって、どれほどの励みになったことか。深くお礼を申します。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

[查看全部]  相关评论