子宮頸がんHPV検査、導入へ検討進む-9日から全国でセミナー
その効果を検証するとして、厚生労働省が今年度予算案に盛り込んだ子宮頸がん検診のHPV検査。現在の細胞診との併用で、検出感度が高まると同時に、受診間隔を延ばせるといった効果が期待できることから、医療、行政関係者の間で関心が高まっている。今月9日からは、自治体担当者らを対象にしたセミナーが全国で開かれるなど、国内導入に向けた検討が進んでいる。
子宮頸がんは、若年層の罹患者が増加してきており、諸外国では死亡率が低下する中、日本は上昇傾向にある。こうした状況を受け、4月から施行された改正予防接種法では、予防ワクチン(HPVワクチン)が定期接種化されるなど、対策が急がれている。
現在の検診で行われているのは、細胞の形の異常を調べる細胞診。前がん病変の発見率は70-80%といわれ、20歳以上を対象に2年に1回の受診が推奨されている。一方、HPV検査は、原因ウイルスであるHPVの感染の有無を調べる方法で、より精度が高い。両方の検査を併用した場合、次の検診までの間隔を3-5年に延ばせる可能性があるとされ、受診者の負担軽減と検診費用の削減が期待できる。
厚労省の「がん検診のあり方に関する検討会」では、HPV検査の併用について検討したが、海外では一定の有用性が認められているものの、国内での知見が不足していると指摘されていた。これを踏まえた検証事業は、データ収集などの体制を整えた一部の市町村に限定し、罹患率の高い30歳、35歳、40歳を対象にHPV検査を試験的に実施。全国的に導入する場合の方法や課題などを調べる。対象者数は7、8万人ほどを見込んでおり、費用として1億5000万円を計上した。
セミナーは、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議などが主催。同会議実行委員長の今野良・自治医科大附属さいたま医療センター産科婦人科教授らが、HPV検査の医学的エビデンスやメリット・デメリットなどを解説する。9日の札幌会場を皮切りに、23日まで仙台、東京、大阪、岡山、福岡の各会場で開く。
今野教授は、「HPV検査の検診への導入は、医学的に確実であり、経済的にも効率的で、女性に安心を与えるものだ」と意義を強調している。
難しい言葉
もりこむ【盛り込む】一つの計画や考えの中に、いろいろなものをいっしょに取り入れる。
りかん【罹患】病気にかかること。